■ニュース深堀り!■“公民連携”でソーシャルなビジネスを始める! 画像 ■ニュース深堀り!■“公民連携”でソーシャルなビジネスを始める!

制度・ビジネスチャンス

 急増するインバウンドに対応するには事業者、もしくは公的機関が単独して当たるには限界がある。その枠を超えて事業を進めようとしているのが、飛鳥交通と横浜市だ。2016年4月には訪日外国人の受け入れ環境の向上に関する協定を締結。2017年1月から20台の「インバウンドおもてなしタクシー」を走らせ、訪日外国人旅行者の居住地、利用人数、乗降場所、利用料金、手荷物量などの調査を始めている。収集したデータは横浜市に提供され、同市はデータを分析して地域の観光事業に役立てる予定だ。

 「インバウンドおもてなしタクシー」は飛鳥交通から横浜市に提案する形でスタートした。このような公共的な効果を期待するビジネスを「公民連携(PPP:Public Private Partnership)」という。自治体や行政が公募や発注するのではなく、民間企業のビジネスを自治体のサービス、公共的な施策と連携させることで、その後押しをしようという取り組みだ。

 PPPは両者がWin-Winの関係になれることから注目を集めている。そこに中小企業が参入する余地はあるのか? 国内唯一の研究機関である、東洋大学PPP研究センターセンター長の根本祐二教授に、PPPと関わり、活用するためのアドバイスなどを伺った。

■1万数千件の事業を中小企業が担う公民連携

――そもそも公民連携とは、どのような事業のことを指すのでしょうか?

根本 公民連携には明確な定義はありません。国が音頭をとる官製プロジェクトや政策ではなく、民間ビジネスの中で公共的な機能を担うもの、その効果が期待できるものであれば公民連携ということができます。

 例としては、指定管理者制度がわかりやすいでしょう。自治体のスポーツ施設、体育館などが中心ですが、近年では図書館の管理や運営業務についても民間企業に委託する事例が増えています。東京23区内の体育館などは、9割以上が指定管理者制度で委託された民間企業が運営しています。

 このように公共事業に民間の資金調達を活用するPFI(Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)も、公民連携のひとつとしてとらえることができます。

――公民連携ではどのような企業や組織が、委託された事業やサービスを運営するのでしょうか。大手企業や大手によるJV(共同事業体)が多いイメージもあります。

根本 およそ半分を企業ではない財団法人、NPO、あるいは町内会のような小さな組織が受け持っています。残りがいわゆる民間事業者で、事業数でいうと約3万件が民間企業の受託している案件です。明確な統計はありませんが、このうちの約4割、1万数千件が中小企業と呼ばれる企業が手がけているといわれています。

■大手JVにはできないインフラ更新が狙い目

――公民連携のビジネスモデルはどうなっているのでしょうか。民間事業者が公共的なビジネスを手がける場合、どのように収益を上げればよいか教えてください。

根本 大きく3つあります。ひとつは受託した事業や施設の管理予算を、自治体などから売り上げるモデル。もうひとつは施設やサービスの利用者から利用料を徴収するモデル。そして、3つ目が両者の組み合わせです。

 例えば、掛川城の修復とその後の施設管理に関する指定管理者制度を活用した事例では、地元の建設会社やホテルなど30社が共同で受託。観光収益やサービスの向上によって観光客などを増やし、自治体の指定管理費用をゼロにする取り組みがスタートしています。

――掛川市の事例は地元の中小企業が関係していますが、公民連携による事業や指定管理者制度を利用する場合の戦略はあるでしょうか?

根本 自治体が抱えている悩みのひとつに、インフラの老朽化問題があります。高度経済成長期やバブル期に作った道路や建物などの更新についての問題ですが、このような事業に中小企業の参入余地があるといえるでしょう。

 というのも、大手のJVなどは橋やダムなど、大規模な予算の案件でないと利益がでない構造にあります。景気のよいときにインフラを作るのは得意ですが、その後のメンテナンスや運営などは大手ゼネコンにはできない仕事です。そこには、補修や改築などの工事のほか、長期のメンテナンスや工事終了後の管理・運営業務などが発生します。

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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