【中小工場のIoT化最前線:3】稼働状況も職員の体調も見える化! 画像 【中小工場のIoT化最前線:3】稼働状況も職員の体調も見える化!

IT業務効率

【記事のポイント】
▼「人でなくてもいい部分は自動で」が、IoT化の大きな起点
▼ブレないコンセプト、目標を定めることで業務全体も安定


■テクノロジー導入は必要な投資

 前回の記事では武州工業株式会社がIoT、そしてその背景にある生産管理システム「BIMMS」の活用で、自動車業界の生産コストでLCC(Low Cost Country:ローコストカントリー)に対抗。“一個流し生産方式”の生産性を徹底的に高めようとする姿を追った。

 武州工業が導入した機械の動作をカウントするIoTシステムは、BIMMSへの入力を、手動から自動へ転換するための試みの一つとなっている。入力されたデータを活用するのは人間でなくてはできないが、データの集計や入力は人間がやらねばならないということはない。「ならば自動でやらせてしまえ」というのがIoT導入のきっかけになったと、武州工業代表取締役社長の林英夫氏は話す。

「やっていることは、棚卸しの発想です。一個流しは仕掛品が一本しかなく、あとは材料と完成品。棚卸しが簡単なんです。でも工場では、なにを売った買ったは分かるとしても、各ラインで品物がどうなっているのかは、年に一度の棚卸しでしか分からない。コンビニにはPOSがあって、売るたびに棚卸しをしているようなもの。BIMMSでは、それを毎日しているのです」

 BIMMSを介することで、日々の作業はそのまま、棚卸し、在庫管理に繋がる。そこから次の仕事へと日々フィードバックを重ね、効率化を深めていく。製造機械や職人の働きぶりを、リアルタイムで蓄積、統計管理することができるBIMMSがあって、ここまで徹底した労務とコストの管理が可能になるのだという。

「昔はパソコンを端末にしていたので、そこまで効果的ではありませんでした。パソコンは場所を取るからそうたくさん置けないし、使い勝手の問題もあります。今は社員全員にタブレット端末を支給して、そこからBIMMSを使い、爆発的な効果を生んでいます。端末代は合計で四百万円くらいかかりましたが、一工程やる機械だってそれくらいしますから。それくらいまでやらないと、日本でLCC価格を実現することは難しいんです」

 “LCCと戦える競争力”という明確な目的の下に、必要であるならば、大きな開発・インフラ投資も果断に行う。長期的なコストカットに役立つならば、短期的にコストのかかる施策に躊躇しない。この姿勢が、武州工業の成功の背景にあると思われてならない。これらの投資は途方もない差にも思えたLCCとの労務費の差を、現実に埋めてしまった。その良好な営業成績は、優良申告法人の表敬七回という税務内容からも伝わってくる。

■ブレないコンセプトが、適切なIT化への筋道となる

 武州工業では、なぜそこまでのIT化が実現できたのだろう。一見すると、設備投資などのコストがかかる施策を、迷いなく進めることができたのは、何故なのか。これについて林氏は、「ただコストカットするだけなら、海外に出て行った方がいい」と、コストカット自体が目的ではないことを強調している。

「青梅から世界に向けた仕事をするんだというのが、弊社のコンセプトのひとつです。それは、地域に根ざし、地元の雇用を守り続けたいということ。LCC価格を目指すのはそれが理由ですから」

《久保田弥代/HANJO HANJO編集部》

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