専門誌の新年号は何を伝えたのか? 土木学会『ドボ博』に聞く 画像 専門誌の新年号は何を伝えたのか? 土木学会『ドボ博』に聞く

制度・ビジネスチャンス

 建設分野の意義や魅力をどうやって広く一般の国民に伝えていくのか。多くの関係者が頭を悩ませている大きな課題だ。インターネットなど発信ツールは多種多様で、上手に利用して情報を拡散していけば、大きなうねりにつながる可能性もある。新たな視点も組み入れながら進む試行錯誤の一端を紹介する。
 土木学会(田代民治会長)が、昨年8月にウェブ上のオンライン博物館「ドボ博」(http://www.dobohaku.com/)をオープンさせた。橋やダムに代表されるように、土木構造物などのインフラはそもそも建物に収まり切れない。地球や都市自体が博物館であり、そうした場へといざなう入り口という位置付けだ。
 初弾の企画展は、「東京インフラ解剖」。隅田川が骨格、東京港が消化器、東京駅が循環器というように東京全体を人体に見立て、都市を形成しているインフラを紹介している。
 ツイッターなどSNS(インターネット交流サイト)を通じた情報の拡散が大きな力を発揮する時代。あえて読み手に引っ掛かりを与えるような題材もちりばめ、広く関心を呼ぼうという戦略だ。インフラの美しさやダイナミックな様子を感じてもらおうと、写真や映像にも力を入れた。商業デザインやCMなどを手掛ける「ヤックル」(東京都千代田区)が制作した予告動画は、インフラが持つかっこよさや、それを支える人たちを垣間見られる内容となっている。
 昨年11月末までのアクセス数は約5・4万件で、このうち約6割を18~34歳の若者世代が占めた。男女比もほぼ半々と、土木を専門とする層とは異なっており、成果は見え始めている。継続的に取り組むため、寄付や賛助企業も募っているという。
 □好奇心や遊び心を出発点に□ 
 土木学会土木図書館委員会のドボ博小委員長を務める北河大次郎氏(国立文化財機構東京文化財研究所近代文化遺産研究室長)に、ドボ博の狙いを聞いた。
 --制作の意図は。
 「土木学会の貴重な資料を活用して、強力な情報発信拠点を作りたいと考えた。博物館は知的好奇心や想像力をかき立てる場であるべきで、宣伝や広報ということではなく、遊び心を大事にして、土木の魅力を伝えたい。普段目にしているインフラが、切り取り方によって非常に面白い見方ができることを、一般の人に知ってほしい」
 --企画展で人体をコンセプトに掲げた理由は。
 「東京のインフラはごちゃごちゃしていて、全体が見えにくいが、実は関連性を持って造られている。個別に説明するよりも、脈絡を作った方が、一般の人も感情移入しやすい。すべてを人体に関連付けたため、少し強引なところもあるが、都市に対して妄想を抱いてもらうだけでも成功だと思っている。幸田露伴は、『一国の首都』という書籍で、『人が都市を愛し大切に思う気持ちこそが都市を良いものにする』と述べている。都市への愛着が高まり、良い都市づくりにつながることが理想だ」
 --今後の展開は。
 「ドボ博は、国立博物館のような箱であり、定期的に企画展をやっていきたい。東京以外の地域でのインフラ解剖も検討していく」。

2017新年号-伝える力を考える/多様化する広報ツール・1/土木学会

《日刊建設工業新聞》

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