~社歌コン 応募社の横顔:5~朝礼を変えたラップ社歌-岡山のOA販売
人材
■社長の一言で結成された「社歌ラップ隊」
岡山を拠点に事務用品や事務機器の販売を手掛け、文具専門店「うさぎや」を5店舗展開する「クラブン」では、朝礼のときに社員みんなで社歌を歌います。2015年の夏のある日、いつものように社歌を歌い終えたあと、社長の伊澤正信さんが言いました。
「この歌は古すぎる。社歌をラップにするぞ!」
伊澤社長はその場で、何人かの社員を名指しすると、すぐにプロジェクトを組んで社歌作りに取り掛かるように命じます。総務部に所属している笹倉歩さんも、プロジェクトのメンバーに選ばれた一人です。クラブンでは部活動として、バンドを組んで音楽活動を行っており、そこに笹倉さんも所属していました。とはいえ、社歌でラップと突然に言われ、最初は「冗談でしょう?」と思ったそうです。
「そうしたら、社長がブログに社歌をラップで作ると投稿したんです。話を聞いたテレビせとうちからは、取材の依頼も入ってきました。これは気合を入れてやらなければいけないと、すぐにメンバーを集めて会議を繰り返しました」
このときに集められたメンバー7人は、やがて“社歌ラップ隊”として、プロジェクトの中核を担っていきます。社員全員の前で披露するのが良いだろうと、発表の場は年明けに行われる新年式に決まりました。残された期間はわずか半年。笹倉さん達の挑戦がはじまります。
■皆が歌える、共感できる社歌を目指して
社歌に必要なのは、大きく歌詞とメロディの2つです。このうち、メロディについてはラップという方向性が決まっていたのと、メンバーにDJがいたことで、彼の提案のもとでブラッシュアップしていくことになりました。
では、歌詞の題材は何にすべきか? そこで思い浮かんだのが、朝礼などで伊澤社長がよく話していた言葉です。
Will――社会に役立ちたいという想い
Skill――ビジネス上でのスキル
Thrill――冒険心
これらをもって仕事に臨むこと。その中でも、SKK(素直・謙虚・感謝)の気持ちがあれば、必ず幸せになれるのだと。一連の単語はラップのフレーズに取り入れるにも、とても相性が良いように思われました。
こうして方向性も固まり、社歌作りは順調に進んでいきます。皆で歌うことも考えてあまり韻を踏みすぎないように、その中でも単調にならないように、曲の後半は歌にしました。そこには、かつての社歌の「燃えよクラブンズ」というフレーズが、そのまま残されています。
■社歌が象徴するイメージが、会社の方向性をまとめる
2016年1月、新年式の会場で新たな社歌がお披露目されました。その反応はとても良かったと、笹倉さんは話しています。最初はラップと聞いて、「自分に歌えるのか?」と不安を感じていた社員も、今ではノリノリで朝礼に参加しているようです。
かつては社歌の時間には、社員は腕を前に組んで直立していました。それが、今では手拍子を交えながら、誰もが体を揺らして歌っています。そこには、朝から大きく声を出して、元気よく仕事を始めようという雰囲気が生まれているようです。クラブンには現状維持を良しとせず、チャレンジすることを求める風土があります。40年に渡って歌い続けてきた社歌を変えたことは、その象徴になるような一つのメッセージにもなりました。
社員全員が参加することで一体感を生み、そこに込められたメッセージを共有する。生まれ変わった社歌から、クラブンに新たなコミュニケーションが生まれ始めています。
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