~社歌コン 応募社の横顔:3~HAPPYが広がる町工場-大阪の型製作会社 画像 ~社歌コン 応募社の横顔:3~HAPPYが広がる町工場-大阪の型製作会社

人材

 HANJO HANJOでは社内のコミュニケーションを盛り上げるものとして、社歌に注目してきました。現在、開催中の「中小企業 社歌コンテスト」では、企業の想いが詰まった社歌が主役の動画を募集しています。応募企業では早くも社歌の制作を通じて、従業員の間に一体感が生まれているようです。

■製造業の暗いイメージを変えたい

 東亜成型は、主力のウレタン発泡用金型をはじめとした型制作を手掛ける大阪の町工場です。社歌を作るにあたって、その中心になったのが常務の浦竹重行さん。かつてリゾートホテルの会員権営業を担当していた経歴の持ち主です。

 リーマンショックが起きて間もない頃、浦竹さんは家業の危機を救おうと、東亜成型に戻ることを決意します。入社して間もなく感じたのが、会社に蔓延していた閉塞感でした。

「ウレタン発泡用金型は全国に15社ぐらいしか同業者がいなくて、それも関西ではうちと1社ぐらい。これは何か新しいことをしなければ息が詰まると、とにかく思い付きでイロイロなことをやりましたね」

 その足跡は東亜成型のホームページに垣間見ることができます。一見すると製造業らしからぬスタイリッシュなページには、「東亜オリジナルTシャツ販売中!」や、「“ドヤ心”くすぐるアイテム【DOYA】」といった文字が。このような取り組みをカタチにしてきた背景には、「会社を明るく見せたい」という浦竹さんの想いがありました。

「製造業って何となく暗いイメージがあるじゃないですか。でも、これから少子化が進んで人手が足りなくなるなら、若者受けするような楽しい雰囲気が必要なんじゃないかなって。さらに言うなら、製品としては良いものを作っているのに、それが上手く外部に伝わっていないことも、すごくもったいないなと感じていました」

 やがて浦竹さんの取り組みは外部に広まり、今までには無かった業種からも問い合わせが集まるようになります。その中にはテレビなど、メディアからの取材申し込みもありました。最初は出演を恥ずかしがっていた従業員も、今では「今度はどの色のTシャツを着ましょうか?」などと、会社の変化を楽しんでいるようです。

■ベトナム人教授も笑った社歌動画

 東亜成型の社歌が生まれたのは、意外と新しく2013年のこと。きっかけは“中小企業を歌で応援する”という工場ライブセミナー「PASSION FACTORY LIVE」でした。ライブを主催するのは、中小企業ブランディングをプロデュースする「情熱の学校」のエサキヨシノリさん。「東亜成型でぜひライブがやりたい!」というオファーに浦竹さんが応え、その年の12月にライブが開催されることになります。

「そうしたらエサキさんが、社歌をプレゼントしてくれることになりまして。これまでの取り組みで私が伝えたかったこと、さらには従業員の想いを歌詞としてカタチにしてくれたんです」

 “HAPPY”を口ずさみながら、明るい明日を願おう。そんなメッセージが込められた社歌は、会社の業績が苦しいときにも、浦竹さんが心に刻み続けていたポリシーにも通じています。「楽しそうにしていれば、人も、モノも、金も集まってくる」と。

 社歌というと従業員の結束を高めるため、内向けに作られるというイメージがありますが、浦竹さんの考えは少し違います。まずは外部の人が興味を持ってくれるような歌を作ることが大事。その反響が外から社内の雰囲気を変えていくというアプローチのほうが、今の若い人の意識を変えるのには向いているようです。

 ライブ当日、会場となった東亜成型の工場には、100人を超える観客が集まりました。その様子は、投稿された社歌動画に残されています。演奏に熱を上げ、社歌を口ずさみながら体を揺らし、その中には従業員が観客と交流する姿もありました。作業中も口数の少ない従業員がにぎやかに話をしている姿に、浦竹さんは頬を緩ませたといいます。

「外の方と酒を交えながら、自分のホームグランドで得意分野の話をするというのは、従業員にとって良い機会だったと思います。モチベーションも上がりましたし、普段から外部の方を意識して、挨拶などを積極的に行うようになりましたね」

 こうして完成した社歌動画は、東亜成型のイメージづくりに役立っています。技術者の採用に向けてベトナムに渡ったときのこと、実技試験の会場となった大学で、担当となった教授は動画を見て大笑いしたといいます。「会社を明るく見せたい」という浦竹さんの取り組みは、社歌と社歌動画を通じて、また一歩前に進みました。

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