~中小工場のIoT化最前線:1~見える化で生産性を向上! 画像 ~中小工場のIoT化最前線:1~見える化で生産性を向上!

IT業務効率

「見える化という課題を見つけるまでに半年、その解決策を考えるのに半年。さらに、システムを導入して効果が出るまでには、2~3年はかかるというのが実感です。中小企業のIoT導入には、ある程度の時間を見込む必要があると思います」

 IoTのソリューションには中小企業向けのものも増えているが、現場にあわせて完全にオーダーメイドするものは、どうしても費用が高くつく。課題を見つけ、それを解決する筋道をつけ、手ごろなソリューションを探すには、じっくり腰を据えて動く必要がありそうだ。

■IoT導入がもたらすのは“作業の平準化”

 では、機械の稼働状況が見える化すれば、事業者にとってどのような利益があるのだろうか? 岩本氏によると、そのキーワードになるのが“平準化”だという。工場内である機械だけ作業が詰まり、ほかの機械の遊休時間が長いと分かれば、作業を平準化するようなフローを導入することで生産性を向上できる。また、作業の混み具合を営業の人間がクラウド経由で確認できれば、状況に応じた納期や値引きなどをクライアントに提案できるだろう。

 研究会に所属するダイイチ・ファブ・テックでは、受注量を向上させるために会員の募集に手を上げたという。同社の工場ではある機械の前にだけ、作業待ちの部品が積み重なり、それを理由に従業員が受注増に難色を示していた。しかし、ほかの機械を見れば、動いていないものも多い。稼働時間を平準化すれば生産能力を向上できると、直感的に考えたという。

「ただ、なぜその機械の前にだけ部品が溜まるか、経営者の方はその原因を把握できていないわけです。研究会に参加する4つの事業者では、稼働状況の見える化について、バーコードによって管理する体制を敷いていました。ただ、作業員が面倒くさがって、どの会社でも機能していなかったようです」

 IoTであれば作業員に余計な操作を増やすことなく、機械の稼働状況を見える化できる。これは、経営者にとって大きなメリットといえるだろう。

■進むIoT導入支援、利用の機会を見逃さずに

 現在も募集を行っているものづくり補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)では、「中小企業者等が第四次産業革命に向けて、IoT・AI・ロボットを活用する革新的ものづくり・商業・サービス開発を支援」するものについて、補助上限を3000万円まで増やしている。「IoT推進ラボ」のような、IoT導入のプロジェクトを支援するような機関も立ち上がり、国からの補助も活発化してきた。

 ただ、研究会という形で中小企業のIoT導入の実態を見てきた岩本氏は、その立ち上げには第三者の助言を得ることが望ましいという。相談相手になりそうな機関として、同氏が注目しているのが、各県に設置されている工業試験場だ。神奈川県では既に中小企業のIoT導入について、ある程度の相談ができる体制を整えつつあるらしいという。

 また、IoTソリューションについても、中小企業向けのものが増えてきた。今後その数や導入実績が増えれば、より安価に、自身の工場に合った製品が現れることも期待できる。

 このように、中小企業のIoT導入に向けて、その環境が一歩一歩整いつつある。その変化を掴み、タイミング良く導入すれば、同業他社に対するコストや生産力のアドバンテージを得ることができるだろう。今後も、国の補助制度、相談機関、ソリューションといったIoT関連の情報について、中小の工場経営者は注意深く見守っていきたい。

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《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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