HJHJアーカイブス:01「世界のエル・ブリを唸らせた日本酒」 画像 HJHJアーカイブス:01「世界のエル・ブリを唸らせた日本酒」

インバウンド・地域活性

 「HJHJアーカイブス」では、年末年始にもう一度振り返りたい記事を、過去の記録からピックアップしてお届けします。第一回目は史上最多となる41個のメダルを獲得し、日本中を熱狂させたオリンピックにちなんだ、あるモノづくりのエピソードです。

 20年にいよいよ開催される東京五輪に向けて、何か新たなビジネスを始めようと考える経営者の方も多いことでしょう。「東京オリンピックの乾杯を日本酒で迎えたい」。その思いから11月の「一般社団法人awa酒協会」設立で音頭をとった、同協会理事長の永井則吉氏もその一人です。群馬県川場村に蔵を構える永井酒造で、永井氏がスパークリングの清酒を完成させるまでの姿を、HANJO HANJOが追いました。(15年12月22日の記事)

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【地方発ヒット商品の裏側】世界一予約の取れないレストランを唸らせた日本酒(1)

 コルクの弾ける音とともに乾杯のグラスを掲げ、肉料理には赤を、魚料理には白を……TPOや食とのマリアージュに合わせて、様々な味わいを提案できるワインの魅力。それを日本酒で表現する酒蔵がある。群馬県川場村に蔵を構える永井酒造。16年に創業130年を迎える、群馬を代表する酒蔵の一つだ。

 “NAGAI STYLE”と名付けられた、この一連の日本酒を醸したのは6代目社長の永井則吉氏。その開発には実に20年近くの月日をかけたという。それだけの情熱をかけて、永井氏はなぜワインに負けない日本酒造りを目指したのか。そこには、1本のワインと、1人の名門シャトーのオーナーとの出会いがあった。

■若き後継者が目指した酒蔵の改革

 1994年、永井酒造はその姿を大きく変えようとしていた。5代目社長として蔵を継いだ永井彰一氏が、2年前に新ブランド「水芭蕉」を開発。蔵ではそれまでの普通酒を中心とした品ぞろえを止め、新たに吟醸を中心とした酒造りへの挑戦が始まっていた。

 水芭蕉をはじめとした吟醸酒を仕込むには、今までの蔵の設備では限界がある。そこで、声がかかったのが、彰一氏の弟にあたる永井則吉氏だった。当時、建築学科に在籍していた則吉氏が設計に加わり、94年に「水芭蕉蔵」が完成。これによって、永井酒造の酒造りは一気に近代化する。

 具体的には人の関与に意味がない部分には、大胆に機械の手を入れたという。例えば、かつては中に人が入って、デッキブラシで磨いていた酒の保管タンク。水芭蕉蔵ではここに高圧洗浄の機械を入れたことで、人力では2時間かかった掃除が、わずか30分で片付いた。

 酒蔵の近代化によって、職人が酒造りに専念できる時間は従来の約20倍まで増えた。タンクの温度管理も機械化し、吟醸酒に求められる緻密な温度管理を行う。職人が五感を働かせて酒とじっくり向き合い、麹菌や酵母菌の活動を支える環境を先回りして作ること。それが永井酒造の新たなスタンダードになった。

《HANJO HANJO編集部》

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