富裕層インバウンドの法則その3 画像 富裕層インバウンドの法則その3

インバウンド・地域活性


 もうひとつ、シンガポールでとあるパーティに参加した際のエピソードを。たまたま丸テーブルで隣り合わせになった、あるインドネシア人富裕層から、「東京にショート(注:東京都渋谷区松濤のこと)というところがあるだろう。そこにまとまった土地を探しているんだ。それをサポートしてもらえないか」という相談を受けたことがある。私が日本人だと知り最初に言ってきたのがこの言葉だ。「私の周辺では、日本への不動産投資は渋谷区松濤に限る、という話になっている。そこにいいサブリース会社を見つければバッチリだ」と。

 結局この相談には乗らなかったが、時代が時代ならば、渋谷区役所や渋谷の観光協会と連携したビジネスを私も考えていただろう。同じ席のやはりインドネシア人富裕層には、「Between Roppongi St and Aoyama St(注:外苑前駅~表参道駅の青山通り沿いおよびその周辺は大規模な再開発地域となっている)ならいくらでも案件がほしい」とより玄人好みの話を持ち出す人もいた。もう4年前の話だが、この時のシンガポール在住インドネシア人富裕層の間では、東京都心への不動産投資が大きくクローズアップされていたということになる。今もトレンドとしてはあるのだろうが、視点は別の方向に向かっているようだ。渋谷や南青山はそもそも集客力のレベルが高いので参考にならないかもしれないが。

 それでも、「ある時期のインドネシア人富裕層の日本への興味関心」を、渋谷区や港区の観光協会の方が当時私が座った席にいることができていれば、実需をともなうビックチャンスに変えて手にしたに違いない。こういうことはアライアンスという言葉に振り回されることなく、自社で人を出して毎日リサーチさせるような、民間企業が常にやっている「効率的なムダ」として観光協会や自治体も予算を振り向ける時期にきているというのが正直な実感だ。この例も「想定ターゲットを絞りきる因数」を見つける、だれでも明日からできること、の例と言える。富裕層インバウンドを捉える視点の有用な考え方としておさえておきたいところだ。

 このような富裕層インバウンドビジネスのヒントを皆さんで考えていく機会のひとつとして、当社ルート・アンド・パートナーズでは「富裕層インバンドビジネス研究会」を2017年1月から立ち上げることにした。多業種から多人数参加可能なコンソーシアム型の商品で料金的にも誰でも参加しやすいように設計した。欧米を中心とした海外富裕層のリサーチを繰り返しながら、外国人目線で訪日富裕層外国人を増やし消費活動を多くしてもらえるような枠組みを、皆さんと一緒に研究していきたいと考えている。富裕層インバウンドビジネス研究会については、以下のサイトを参照されたい。
http://rpartners.jp/inbound/ibk/

●増渕達也(ますぶちたつや)
ルート・アンド・パートナーズ代表取締役 http://www.rpartners.jp
1992年、東京大学卒業後株式会社電通入社、2002年、富裕層向け雑誌の草分けであるセブンシーズを発行する株式会社セブンシーズ・アンド・カンパニー代表取締役に就任。2006年、富裕層向けライフスタイルマネジメントサービスを手掛ける株式会社ルート・アンド・パートナーズ設立、現在に至る。2013年にはシンガポールに進出。日本、アジアを中心に富裕層ビジネスを手掛け、富裕層マーケティングに関する造詣が深い。「HighNetWorth Magazine」編集長、富裕層インバウンドビジネス研究会も主宰。


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《増渕達也》

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