キリ生産を絶やさぬ。伝統復活へ植栽、福島で始動 画像 キリ生産を絶やさぬ。伝統復活へ植栽、福島で始動

人材

 古くから高級材としてたんすやげた、琴、能面などに使われてきたキリの生産がピンチだ。生活様式の変化で需要が減ったところに、病害虫の発生や安価な外材の輸入が追い打ちをかけ、生産は激減。全国の生産量は669立方メートルと、最盛期だった50年ほど前の1%にも満たない。伝統「会津桐(きり)」の産地、福島県では復活に向けたプロジェクトが始動。地域での栽培や担い手育成を進めている。
たんす、琴・・・かつての高級材
 「桐の里」と呼ばれる同県三島町では、娘が生まれると住居周辺にキリを植え、結婚が近くなるとそのキリでたんすなど花嫁道具を作る風習があったという。だが近年は生産が減り、栽培技術の継承や量の確保が難しくなった。そこで同町は、2000年にモデル林をつくり250本の苗木を植栽。来年以降は450本を植え、産地を維持していく考えだ。

 同町の林業会社「アイパワーフォレスト」の副社長、五十嵐馨さん(62)は町からキリの管理を受託し、成長を見守ってきた。「栽培は農作物のように手間が掛かる」と芽かきや除草、病害虫の防除を担う。「“桐の里”をうたう以上、見合った生産量を維持しなければならない」と使命感を抱く。
栽培技術継承も
 県も担い手育成に乗り出した。初年度に当たる今年度は年4回の栽培研修会を開催。杉やヒノキのように栽培方法が体系化されていないキリ栽培を広めようと、県林業研究センターの研究員が講師となり、「会津桐」の歴史や需要動向、芽かき、防除法などを伝授、21日には苗木を植えた。

 受講した、五十嵐さんの息子で同社職員の健太さん(37)は「経験を積んでノウハウを伝えたい。キリを出荷できる20年、30年後の売り先も確保したい」と意気込む。
外材が圧迫盛期の1%
 福島県によると、14年のキリ生産量は全国の3割を占め223立方メートル。だが、過去最高だった1966年(7860立方メートル)に比べるとわずか3%しかない。県は「危機的な状況。地域で苗木を植えてもらう機運を高めたい」と、研修は今後5年間は続ける予定だ。

 林野庁によると、キリの全国生産量は59年(約8万6806立方メートル)をピークに減少の一途をたどり、14年は669立方メートルに減少。福島の他、秋田や山形、群馬などで生産されているが、いずれの産地でも生産は減り続けているという。同庁は「需要は減ってはいるが、一定の需要はあり、なくなることはない」(特用林産対策室)とし、産地の盛り上がりに期待する。(隅内曜子)

キリ生産 絶やさぬ 伝統復活へ植栽 福島で始動

《日本農業新聞》

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