【規制緩和が生む新観光業:3】高単価ガイドツアーが売れる理由 画像 【規制緩和が生む新観光業:3】高単価ガイドツアーが売れる理由

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼通訳ガイドは、語学力に加えて「会話の質」がポイント
▼欧米人の富裕層にターゲットを絞ることが成功の秘訣
▼鍵はトリップアドバイザー、外国人スタッフも活用した集客を


■通訳ガイドの質がウリのツアーに、訪日観光客が注目

 インバウンドが急増する中で、従来の旅行業法や関連資格が現状に合わなくなっている。規制緩和などの見直しが進んでいるが、その中で注目を浴びている国家資格が「通訳案内士」だ。これは、外国人観光客に対して報酬を得て通訳ガイドを行うことができる資格で、外国語スキルに加え、日本の歴史や地理、文化についても精通していることが求められる。ニーズは増加しているが、現在約2万人の有資格者のうち稼働しているのは4分の1程度。背景には低価格を売りにしたツアーでは添乗員がその役割を担うこと、大手旅行会社も新規委託のリスクを避けてベテランだけを採用するなどの理由があるようだ。

 このような状況もあって、政府は国家資格がなくても有償通訳ガイド業務ができるよう規制緩和を行う方針で動いている。それに先駆けて、業界に風穴を開けたのが「トラベリエンス」だ。ガイドする通訳案内士の質の高さをウリとしたツアーの販売を手始めに、訪日外国人と通訳案内士のマッチングサイトを立ち上げ。口コミで高い評価を受けた施設に送られるトリップアドバイザーの「Certificate of Excellence」を14年から毎年受賞するなど、創業4年目にして多くの訪日外国人の取り込みに成功している。

 トラベリエンス代表取締役社長の橋本直明氏によると、起業の原点は学生時代のバックパッカー旅行。10年間の会社員生活に終止符を打って実現させた9カ月の世界放浪の旅にある。30以上の国を訪れ様々な現地ツアーを体験するなかで、知識の幅が広く、コミュニケーション能力の高いガイドが案内するツアーは一生心に刻まれる思い出になった。

 帰国後の13年、“もっと知れば、もっと旅が楽しくなる”をコンセプトにトラベリエンスを創業。その後、訪日外国人と通訳案内士のマッチングサービス「トリプルライツ」、オンライン旅行ガイドブック「プラネタイズ」、通訳ガイドのスキルを学ぶEラーニングサービス「通訳ガイドアカデミア」を立ち上げている。

■重要なのは通訳ガイドの質、会話能力を見極める

 トラベリエンスの創業時のスタッフは、橋本氏のほかは業務委託の通訳案内士が数名。自身で外国人に人気の浅草を中心に東京を歩き回り、ツアー内容を考えるところからスタートした。「自分が外国人だったらどういう旅をしたいかと、これまでの旅の経験と照らし合わせて考案しました」と話す橋本氏。公共交通機関とウォーキングを組み合わせて移動するツアーに特化し、そこが「地域の人々の暮らしや文化に触れられる」とツアーの人気に繋がったが、実は当初は取得していなかった旅行業資格なしで営業するためでもあったそうだ。

 中でも、ツアーの立ち上げに必要となる通訳案内士の採用には苦労があったという。「コストはかかりますがエージェントも使って、質の高い通訳案内士を探しました。今も採用活動は続けていますが、現状では10名と少数精鋭です」とのこと。その上で面接後には、模擬ツアーを実施して、そこで資質を見極めている。

「語学力と幅広い知識はもちろん、観光客が欲しているものを察知して提供できる能力を重視しています。例えば、この話に興味がなさそうだなと感じたら、他の興味をひきそうな話をしてみる、というような部分ですね」

《尾崎美鈴/HANJO HANJO編集部》

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