■ニュース深堀り!■成功する空き家と古民家の再利用ビジネス 画像 ■ニュース深堀り!■成功する空き家と古民家の再利用ビジネス

制度・ビジネスチャンス

 総務省統計局の発表によると、13年の空き家数は820万戸。この数字は5年前の調査から63万戸も増えた。一方で国内での住宅供給量は減っていないため、新築、中古を含めて今後も空き家は増え続けると予想される。そのため国や自治体は、移住政策、地域おこし協力隊、あるいは民泊ビジネスなどの施策によって、空き家の再利用を進めている。17年までには不動産特定共同事業法の規制緩和によって、空き家や古民家を扱う事業認可に必要な最低資本金を下げる動きもあるようだ。

 日本の人口は10年にピークアウトを迎え、30年には1億2千万人を割り込み、70年には1億人も割り込むと予想されるなど、その数は減り続けている。その中で発生する空き家を中小企業がビジネスに活かすことはできるのか? コンサルタントとして長年活動し、関連著書も多いオラガ総研代表取締役社長の牧野知弘さんに話を伺った。

■都内で最も多くの空き家を抱えるのは世田谷と杉並

――自治体のまちおこしやニュービジネスといった視点で、空き家や古民家が注目されています。まず、現状ではどのエリアに、どの規模の空き家があるのかを教えてください

牧野 政府統計や不動産関係のレポートが示しているように、高度成長期以来、住宅は増え続けています。その一方で人口は減少フェーズに入り、一極集中、過疎化、少子高齢化の問題と相まって、空き家が増えているわけです。

 地方の空き家は過疎化に伴うもので比較的イメージしやすいですが、現在は都市部でも空き家は深刻な問題となっています。都市近郊のニュータウンでも集合住宅や一戸建てを問わず、高度成長期に開発された住宅地では、子どもが独立した親世代の高齢化が進んでいるわけです。

 東京であれば、世田谷区、杉並区、大田区などが空き家の増えている自治体です。豊島区はワンルームマンションの空き家が問題となっていますね。他にも横浜市南西部、仙台市なども同様な問題を抱えています。

――この問題に対して政府や行政はどのような取り組みを行っているのでしょうか?

牧野 国交省は15年に「空き家対策特別措置法」を施行しましたが、これは放置された空き家の取り壊しなどの強制執行を自治体がしやすくするものです。家主や親族が取り壊し費用を負担させられるなど、放置住居に対する一定の抑止力は期待できます。ただ、住居を放置する背景には、家人が死亡している、高齢や病気で施設に入ったなど大きな理由があります。この時に更地にできないのは、その土地の不動産価値があまりないからで、空き家を取り壊しても利用価値はほとんどありません。

 空き家の流動化を促すため、自治体などは「空き家バンク」を整備し、全国規模のマッチングの仕組みを作っています。ほかにも、リフォーム、ビジネス転用への補助金政策もありますが、空き家になるような不動産の活用は限定的と言わざるを得ません。

■空き家ビジネスは大手より中小企業・ベンチャー向け

――現状で空き家、古民家を活用したビジネスにはどのようなものがありますか?

牧野 大手デベロッパーや不動産会社は手間とコストに見合わないため、空き家の活用にはあまり積極的ではありません。NPOやベンチャー企業など、小回りの利く企業のほうが動きは活発ですね。

 例えば、誰も住まなくなった空き家の手入れやメンテナンスを代行する会社が増えています。安いところでは月額500円から、ポストの整理や家の破損などの外観チェック、部屋の掃除、補修などいろいろメニューを提供しているようです。

 中小企業やベンチャーなどはシェアハウスの運営、マッチングビジネスなどを展開しています。シングルマザーのためのシェアハウスを展開したり、学童保育のように子供を預かって食事や読書の場を提供するところもあります。

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

編集部おすすめの記事

特集

制度・ビジネスチャンス アクセスランキング

  1. 四国横断道吉野川大橋、延長1696.5メートル

    四国横断道吉野川大橋、延長1696.5メートル

  2. 葬儀件数増も規模は縮小、葬祭ビジネス市場はどうなる?

    葬儀件数増も規模は縮小、葬祭ビジネス市場はどうなる?

  3. 国内建設市場は19年にピーク? 建設関連100社アンケート

    国内建設市場は19年にピーク? 建設関連100社アンケート

  4. ~着地型観光:3~ストーリーをどう作ればいいのか?

  5. 工事量が急減、全建が自民に補正予算編成を要望

  6. 今年のクリスマスケーキは、たっぷりのイチゴが魅力!/定番のショートケーキを強化

  7. 大阪府茨木市、産学官協力の大規模物流施設/「彩都もえぎ物流施設計画(仮称)」

  8. 「中小企業の《経営論》」第5回:「トップダウン」と「ボトムアップ」のバランスと使い分け

  9. 建機大手4社の16年4~9月期決算、全社が減収・営業減益

  10. 新空港線線(蒲蒲線)、先行区間事業費は1260億円

アクセスランキングをもっと見る

page top