【あたらしい訪問型ビジネス:3】“オフィス”をセラピーの場に 画像 【あたらしい訪問型ビジネス:3】“オフィス”をセラピーの場に

制度・ビジネスチャンス

「施術時間の30分間ずっとお喋りする方もいらっしゃいます。施術の具合についてお尋ねする以外の場面では、セラピストは聞き役になります。不満や悩みを口に出すことでスッキリしたり、改善策に気付くこともあるようです。話題は仕事から家庭のことまでさまざまですが、第三者的なセラピストが相手だからこそ、気軽に話せることもあるのではないでしょうか」

■訪問先企業と一体になってサービスを展開

 VOYAGEでは1企業あたりのセラピストの出張頻度は月に2~4回で、サービス提供の時間は5~8時間。1人あたり1回の施術時間はおおむね30分で、月に延べ20~40人が利用する計算だ。施術は会議室や応接室にベッドやタオル類、アロマオイルなどを持ち込んで行い、料金は最初月2回、3か月契約の場合は21万円が目安となる。

 また、医療や健康関連の企業と提携して、健康関連の商品を出張先の企業に紹介することもあるようだ。提携企業には商品のPRやモニタリングの機会、出張先の企業では従業員の健康を促進という形で、双方にメリットが生まれている。

 出張先の企業では従業員に声をかけても、なかなか利用者が現れないことも多い。そこで、まずは幹部クラスに施術を受けてもらうのが、VOYAGEのやり方だ。これによって上司は部下に施術を進め、部下は「上司が受けたのなら」と安心して利用できるようになる。時にはイベントと称してセラピストが夏にアロハシャツを着たり、秋にはハロウィンの装飾や仮装をしたりなど、エンターテインメント性を取り入れてリラクゼーションの利用を呼び掛けることもあるようだ。その際には訪問先企業の従業員にも同じ衣装を着てもらい、一緒になってイベントを盛り上げる工夫をしている。

 「法人向け出張リラクゼーションサービスは、契約の継続期間が平均で約2.8年だと言われているが、なぜVOYAGEは長期契約の顧客企業が多いのか」と尋ねられたことがあるという。実際、同社には長期契約の顧客企業が多いが、その理由を後藤さんは次のように明かす。

「単にサービスを提供するだけでは長続きしません。訪問先の企業も巻き込み、一体となって取り組むことで、あたかも弊社のセラピストが“健康経営”をアウトソーシングとして請け負うようなスタンスが大事です。『従業員の心身の健康についてはVOYAGEに任せよう』と思ってもらうことで、契約が継続していくと感じています」

 以前は見向きもされなかった法人向け出張リラクゼーションが、健康経営とストレスチェックの義務化によって一気に市場を開拓した。日々忙しく働く従業員の限られた時間を使ってリラクゼーションを行うには、出張サービスの相性が良い。他にも、いろいろなサービスで、VOYAGEと同じような可能性が考えられるだろう。その中で注目したいのが、ここ数年脚光を浴びている“B2E”、つまり従業員(Employee)をターゲットにしたビジネスだ。出張サービスを拡大させた先には、オフィスを市場とした物販などのビジネスチャンスが大きく広がっている。

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《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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