【あたらしい訪問型ビジネス:3】“オフィス”をセラピーの場に 画像 【あたらしい訪問型ビジネス:3】“オフィス”をセラピーの場に

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼オフィスという場所で求められる社員向けのサービスは何か?
▼企業に広がる「健康経営」の流れを汲んだサービスとは何か?
▼訪問先の企業と共同で行うイベントが長期契約に繋がる


■健康経営とストレスチェック義務化で生まれた新マーケット

 訪問型ビジネスで時代の潮流を掴んだサービスが急成長を遂げている。法人向け出張リラクゼーションで成功しているVOYAGEもその一つだ。元々はグーグルをはじめとした海外企業が、オフィスにリラクゼーションルームを設け、従業員のストレス発散に役立てようとしている動きに注目。福利厚生にコストをかける余裕がない企業が多いことから、訪問型という手法を取り入れた。

 同社は代表取締役の新井卓二社長と、取締役兼セラピストの後藤由利子氏、セラピスト1人の計3人で10年に創業。16年11月時点では在籍セラピストの数は11人に増えた。契約企業数は全19社にのぼり、特にここ1~2年は倍増している。その後押しになったのが、健康経営とストレスチェックの義務化だ。順風満帆のように見える同社だが、創業当初は苦労の連続だったと後藤氏は当時を振り返る。

「飛び込みで営業をしたり、営業資料を作成して送ったりしましたが、『オフィスでリラクゼーションを受けるなんて』という声が多かったですね。日本ではまだ馴染みのないサービスでしたので、ほとんど相手にされませんでした」

 創業の翌年に発生した東日本大震災の影響もあり、ビジネスが軌道に乗り始めたのは、各企業の業績が回復し始めた14年頃のこと。ここでは、まず健康経営が突破口となった。健康経営をテーマにした福利厚生関連の展示会やイベントが開催されるようになり、その出展を通じて1社、また1社と契約企業を獲得。さらに、ストレスチェックの義務化がスタートした15年12月の前後には契約企業が倍増したという。

「当初は企業に営業を行うにも、どこを訪ねればよいかわからない状況でした。ところが健康経営が注目され始めると、徐々に話を聞いて頂けるようになり、今では専用の窓口を置く企業も増えています。従業員が健康であれば仕事のパフォーマンスが向上する、職場への満足度が向上するという企業意識が高まったことが、法人向け出張リラクゼーションへの需要に繋がりました」

■サロンと出張サービスで変わるニーズに対応する

 同社では法人向け出張サービスと並行して、創業時に一般客向けのサロンも開設。法人向けサービスが軌道に乗るまではサロンが売上の屋台骨となり、一方でセラピストのスキル向上も担った。現場でもサロンで蓄積したノウハウが、出張サービスに活かされているという。

「サロンの顧客はリラクゼーションの施術を受けたことがある経験者が多いのですが、法人向けサービスでは未経験者が6割以上に上りました。経験者は強めにほぐしてほしいという要望が多いのですが、初心者の場合は慣れるまでは優しくほぐすようにしています。この時、力加減がちょうど良いかを探るための会話が重要なんです」

 また、サロンでは施術そのものを求める客が中心だが、法人向けではセラピストとの会話によるストレス発散や悩みの解消を求められるケースが意外に多いと後藤氏は指摘する。

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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