アニメ『舟を編む』に見る“会社のチームプレー”の素晴らしさ 画像 アニメ『舟を編む』に見る“会社のチームプレー”の素晴らしさ

人材

 『君の名は。』の大ヒットを筆頭に『聲の形』や『この世界の片隅に』など、アニメ映画の話題作が今年は多数登場したが、今や実写よりもアニメの方がリアルな風景描写や人間同士のお芝居を丁寧に描くことができるという逆転が起こりはじめている。

 そのことをもっとも強く感じさせるのが深夜アニメのノイタミナ枠だろう。

 フジテレビ系で木曜日の深夜に放送されているノイタミナは人気少女漫画をアニメ化した『ハチミツとクローバー』や、オリジナルアニメの『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などといった人気作を輩出し、アニメファンではない一般視聴者からも注目されている。

 ノイタミナは、実写映画やテレビドラマでもやらないような、青春群像劇やお仕事モノをストイックに作っていて毎回驚かされるのだが、もしかしたらアニメというすべてが作り込まれた世界だからこそそれは可能なのかもしれない。

 現在、放送中の『舟を編む』はその極致とでも言うような作品だ。

 本作は、玄武書房で働く営業部員の馬締光也(まじめみつや)が、辞書編集部にスカウトされるところからはじまる。

 大学院で言語学を専攻していた馬締は、苗字のとおりマジメで皮肉が通じない性格で、人とのコミュニケーションが苦手。しかし言葉に対する意識は鋭く、一つの仕事に対する集中力はけた外れ。そんな馬締にとって辞書作りは天職で、どんどん仕事に没入していく。

 しかし、辞書編集部は長年利益を出していなかったため、閉鎖の危機に陥っていた。

 辞書編集部に様々な人々が結集し、辞書作りという一大プロジェクトを10年近い年月をかけて成し遂げる姿は、『プロジェクトX』のようでドラマチックだ。しかし登場人物は物静かで淡々と行動しているというギャップが本作の面白さだ。

 『舟の編む』(光文社)の原作小説を執筆した三浦しをんは、まほろ市という架空の町で働く二人の便利屋を主人公にした『まほろ駅前多田便利軒』(文藝春秋)を筆頭に、駅伝を題材にした『風が強く吹いている』(新潮社)や林業を題材にした『神去なあなあ日常』(徳間書店)などを手掛ける人気小説家。この『舟を編む』で、2012年の本屋大賞を受賞している。

《成馬零一/ドラマ評論家》

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