社保未加入、2次以下も排除なら施工力不安。工事急増も懸念材料 画像 社保未加入、2次以下も排除なら施工力不安。工事急増も懸念材料

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 国土交通省が進める社会保険未加入対策をめぐり、ゼネコン各社の間に施工力不足に陥ることへの不安があることが、日刊建設工業新聞社のアンケートで分かった。回答した27社のうち17社が自社の施工力に少なからず影響があるとした。不安視の理由で大きいのは、国交省が検討中の「2次下請以下の未加入作業者の現場からの排除」。実行されると、工期が厳しい現場で労務確保に問題が生じる可能性が懸念されている。
 アンケートは主要ゼネコン29社に実施。国交省の方針が実行されると自社の施工力にどのような影響が及ぶかを聞いた。回答した27社のうち「影響はない」「影響は限定的で、対応は十分可能」としたのは9社だったのに対し、倍近い17社が影響として施工力不足に陥る可能性を指摘した。1社は未回答だった。
 17社の大半が挙げた懸念要因が「2次下請以下の未加入作業者の現場からの排除」。国交省は既に、未加入の元請と1次下請業者については直轄工事の現場から排除。この措置を2次以下下請業者にも17年4月から適用することを検討している。
 各社は1次下請との契約条件に2次以下の社会保険に加入義務を盛り込むなど対策を進めているが、アンケートの回答企業からは「未加入労働者の入場制限を厳格に行った場合、工程が確保できず、得意先や社会の信頼を損なう恐れがある」(鹿島)、「未加入の作業員を現場から排除することは、工事の円滑な施工に何らかの影響を及ぼす可能性がある」(大林組)といった声が寄せられた。
 東京都心などを中心に2020年東京五輪に向けて工事が急増すると見込まれることも懸念材料になっているとみられ、「設計変更などによって予定工期が期ずれを起こした場合、予定していた技能労働者だけで賄えない可能性がある」(竹中工務店)、「突発的な状況になれば協力会社への手配が難しくなる」(西松建設)との回答もあった。
 このほか、「2次以下の未加入業者の排除を民間工事でも実施すると、現状の加入率では影響が出てくる」(前田建設)、「公共工事での影響はほとんどない。(民間工事への適用など)運用次第では施工への影響が懸念される」(奥村組)と国交省が今後打ち出す施策次第で影響が出ると見る企業も多い。
 「事業主単位での社会保険加入はかなり浸透しているが、労働者個人単位での加入に関しては、目先の収入減に抵抗があって理解が進んでいない。労働力不足になるなど施工面への影響は少なくないのでは」(東亜建設工業)と根本的な問題を指摘する声もあった。
 今回のアンケートでは、回答した全社が16年度内にすべての1次下請の加入率100%を達成できる見通しで、2次下請も加入率の改善が進んでいる。「適正な人員(業者)配置を検討し、施工力に影響が生じないよう取り組んでいく」(大成建設)との回答に見られるように、各社には自社の施工力の把握と計画受注の徹底が求められることになりそうだ。
 《アンケートに回答した27社(50音順)》
 青木あすなろ建設、淺沼組、安藤ハザマ、大林組、奥村組、鹿島、熊谷組、鴻池組、五洋建設、佐藤工業、清水建設、大成建設、大豊建設、竹中工務店、鉄建、東亜建設工業、東急建設、東鉄工業、東洋建設、戸田建設、飛島建設、ナカノフドー建設、西松建設、長谷工コーポレーション、フジタ、前田建設、三井住友建設。

社保未加入-2次以下も排除なら施工力不安/ゼネコン、工事急増も懸念材料/本社調査

《日刊建設工業新聞》

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