【防災という新ビジネス:4】デザインで日常使いも可能にする 画像 【防災という新ビジネス:4】デザインで日常使いも可能にする

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼デザイン=身の回りに自然に置ける仕掛けが重要
▼本業の強みを生かした開発が、リスク回避にも繋がる
▼販路開拓のターゲットは“女性の多いセレクトショップ”


■防災グッズは身の回りにあってこそ役立つ

 地震や台風の被害が多いことから、日本人は防災への意識が高いとされている。その中でニーズを掴んできたのが防災グッズだ。複数のグッズを収納したセットについては、備えている家庭やオフィスも多いだろう。

 災害発生時に急いで避難しないといけない状況下では、防災セットはすぐ持ち出せる場所に置いておきたい。しかし、以前の防災セットはビジュアルへの配慮が薄かったため、玄関やリビングに置くには不向きだった。そのため、押し入れなどに仕舞われて、震災時に持ち出す時間が無かったり、扉が歪んで取りだせないケースがあったという。

 こうした被災時の経験から、近年では防災グッズにデザイン性を求める動きが出ている。イス型防災バッグ「STOOL BAG」も、そんなニーズから生まれた製品だ。開発元のネイバーは兵庫県豊岡市に本社を置き、95年の阪神・淡路大震災を目の当たりにしている。デザインを担当した「SASI DESIGN」の近藤清人代表も、大阪産業大学の非常勤助手を務める傍らで、学生からリアルな防災グッズへのニーズを耳にしていたようだ。

■“鞄メーカーの防災グッズ”という強みの活かし方

 STOOL BAGは長年アパレル企業のOEMとして鞄を製造してきたネイバーが、16年から展開しているオリジナルブランド「REANGLE(リアングル)」を代表する製品だ。円筒形の筺体に防災グッズを収納し、普段はイスとして使いながら、緊急時にはベルトをほどいて肩掛けカバンのように持ち出せる。

 ネイバー営業部の高橋厚志氏によると、中でもこだわったのが高級感のあるデザインだという。

「素材にはすべて弊社の鞄と同じものを利用しました。フェイクレザーは黒、白、茶、赤と鞄で良く見る4色展開。ベルトのアクセントなどで、どこかショルダーバッグをイメージさせる仕上がりにしています」

 結果としてリビングのテーブルチェアとして、玄関先ではスツールとして景色に溶け込む鞄が完成した。筺体には鞄の底板に使うベルポーレンを使って軽さと強度を確保。中身を入れた上で鞄として持ち運べる重量感、身体へのフィット感なども、メーカーならではの知見が活かされている。

 ただ、近年では緊急性の高いもの以外に、被災所で役立つようなグッズについても持ち運びたいというニーズがあるという。現在のSTOOL BAGは直径20センチだが、ブランケットなど軽くても嵩のある物も入れられるように、直径30センチのモデルも開発を検討しているとのことだ。

 一方で、鞄と同じ素材を使ったことには、経営上のメリットにも繋がった。部材の仕入れルートを新規に開拓する必要がなければ、在庫を抱える心配もない。製造についても今までのラインをそのままSTOOL BAGに利用できたため、最小限のリスクで製品化を進められたという。

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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