【規制緩和が生む新観光業:2】地域力で稼ぐツアー事業 画像 【規制緩和が生む新観光業:2】地域力で稼ぐツアー事業

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼ツアーの起点施設におけるビジネスとの相乗効果で利益を生む
▼地域を動かすには収益だけでなく、観光事業に対する思想が必要
▼二地域居住者などが”第二の生活”を事前体験するというニーズも


■食・農・観光の連携で“稼ぐ地域”への仕組みを作る

 インバウンドの増加に伴い、旅行業法の見直しも進むなか、ツアーや通訳をサービスとして販売する際に、従来は必要だった免許などが不要になることが予想される。ホテルや観光事業者などが、副業的にサービスを展開して収益を上げられる可能性が出てくるが、実際にツアーを売り出すにあたってどうすれば成功するのか? 地域の観光資源を生かした地元ならではのプログラムを企画し、参加者が現地集合・現地解散する“着地型観光”の先駆者として知られる「えにしトラベル」に、そのヒントを探る。

 えにしトラベルは地域の総合プロデューサーとして宇都宮市の農・食・観光をつなぎ、同市を“稼ぐ地域”へと変貌させてきたファーマーズフォレストが運営するもの。同社の事業は道の駅「ろまんちっく村」を中心に展開しており、以前は約70万人だった年間来場者数は同社の参入後に急成長し、今年度は140万人にまで増加した。

 その他、同社では拠点運営や農業事業、地域プロデュース、食農支援、コンサル事業、地域商社事業など多角的に事業展開している。その中で、なぜツーリズム事業としてえにしトラベルを立ち上げたのか? 同事業室室長の原田和之氏はその経緯についてこう話している。

「地域商社である我々には、ろまんちっく村を拠点に地域を総合的にプロデュースし、全体の所得があがる仕組みを作るという使命があります。眠っている地域資源を活用する着地型観光も一つの手段と考え、ツーリズム事業には12年に参入しました」

 同社が提供するツアーは、“驚きと発見、美味しさと感動に出会える新しい地旅の提案”がテーマ。「大谷地底探検と里山ハイキング」「暮らし体験ツアー」「旬の農作物をテーマとした採れたてツアー」など、地元の人間にとっては当たり前の風景や体験に付加価値をつけ、観光資源化している。少人数のツアーということもあり、今では毎週満席となるものもあるようだ。地元を良く知るナビゲーター(ガイド)の案内のもと、通常は立ち入り禁止の大谷地底などのレアな場所や、普段は接する機会のないプレイヤー(地元生産者や料理人)を訪問する。その非日常感が大きな感動を呼ぶのだという。

 これらツアーの大きなポイントは、発着点をろまんちっく村にしている点だ。ここにはツアー客が訪問する観光資源の生産物を含め、地域の農作物や特産品が並ぶ。レストランも併設しており、参加者の多くがここで買い物や食事を楽しむ。「ツアーで食べた果物をまた購入したい」との声を受け、取り扱い商品の発送サービスも開始した。その中でツアーがろまんちっく村再訪の動機付けにもなり、逆もまた然りの仕組みがうまく機能している。

■生産者のリーダー・有力者を口説き落とせるかが鍵

 地域との信頼関係・連携なくしては始まらない着地型観光。その中で、どのように関係を築き、また観光コンテンツを探しだし、ツアーへの協力をとりつけていったのだろうか。原田氏によると、実はこの部分が最も苦労した点だという。

「『地域全体の所得を上げるために農・食・観光が連携して、地域の魅力を見せていきましょう』と生産者の方に話しても、なかなか伝わりません。道の駅に農作物を置いておけばそれなりに売れるのに、なぜ田畑に観光客を呼ぶ必要があるのか、と。そこで理解を得るには時間をかけるしかありません。生産者のリーダー的存在の方や地域の発言力を持った方などを集め、何度も話し合いの場を持ちました」

《尾崎美鈴/HANJO HANJO編集部》

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