【規制緩和が生む新観光業:1】地方特化の通訳ガイドはじまる 画像 【規制緩和が生む新観光業:1】地方特化の通訳ガイドはじまる

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼地域に特化した通訳ガイド、その専門性にフォーカスしたサービスを
▼”移動中にある日常風景”という訪日客のニーズを捉えたツアーを作る
▼不足しているのは、地方における東南アジア向け通訳ガイド


■インバウンドの急増をうけた規制緩和がはじまる

 国会での民泊についての議論が注目を集めている。急増するインバウンドに対するホテル不足が予測され、これを民泊解禁という規制緩和で解決しようという動きだ。これにともない宿泊業はもちろん、新たな保険商品や宿泊設備の導入など様々なビジネスが生まれようとしている。

 これと同じ動きが今、通訳ガイドやツアー販売にも起きつつある。現在、外国人観光客向けに通訳ガイドを有償で行えるのは、国家資格である「通訳案内士」に限られる。政府はこの業務独占を廃止し、国家資格がなくても有償通訳ガイド業務ができるよう規制緩和を行う方針だ。

 これは、例えば浅草を行き来する人力車にもプラス材料になる。現在でも車夫は英語など外国語を駆使して観光スポットの案内をするが、それは料金に含まれない”無償サービス”だ。車夫の大半は通訳案内士の資格を持っていないので、通訳しつつ観光ガイドを行っても、そのことでは料金を取れない。

 規制が緩和されれば、彼らも外国人観光客に対して、通訳ガイド料を価格に乗せることが(理屈としては)できるようになる。要するにこれまでは対価が設定できなかったサービスで、料金設定が可能になるわけだ。

■地域特化の通訳ガイドに商機あり

 では、規制緩和によってどのような商機が生まれるか。観光マーケティングを専門とする立教大学観光学部の東徹教授によると、日本の地理から歴史、一般知識まで全般に対する知識がなくても、通訳ガイドの業務が行えるようになるとのことだ。

「今後は日本全国ではなく、特定の地域やジャンル、施設といった専門性をもった通訳ガイドが活躍するようになるでしょう。添乗員が同行する周遊型のツアーでは、一人のガイドがずっと付きっきりである必要はありません。立ち寄る地域や施設ごとに、専門のガイドがバトンタッチしながらリレーしていけばいいわけです」

 地域という単位をより細分化して考えれば、例えばホテルにおいて、散歩して回れる範囲に特化して通訳ガイドを提供するといった、ミニマルなサービスも考えられる。特定のスキー場のことなら、雪質から地形までなんでも知っているというガイドもあり得そうだ。

 現在も認定された少数の特区では、その地域内だけで通用する通訳案内士資格が運用されている。規制がなくなれば、そうした“地域に強い”ガイドが全国各地で必要とされるようになるだろう。そんな地域を愛するガイドが、地域の魅力をエンターテインメント性豊かに伝えることが、今後の地域観光では重要になっていくとのことだ。例えば、身振り手振りを交えながら、地元の方言で土地の魅力を紹介する老人も、その語り口や振る舞いの面白さが一つのアトラクションになっているという。

「言葉のコミュニケーションを越えたところで、観光客を楽しませてくれる人がいます。ガイドブックに書いてある教科書的な知識を伝えるだけなら、テープレコーダーの音声ガイドで十分です。今の時代は地域を正しく伝えるだけではお客様を満足させられませんので、人間性豊かでエンターテインメント性をもったガイドができる人材が必要とされるでしょう」

《久保田弥代/HANJO HANJO編集部》

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