東京都・事業評価委が公共事業評価の在り方に苦言。説明資料が不明瞭、改善求める 画像 東京都・事業評価委が公共事業評価の在り方に苦言。説明資料が不明瞭、改善求める

制度・ビジネスチャンス

 東京都内の自治体が、公共事業の整備効果などの評価のあり方で改善を求められている。国土交通省のチェックリストに基づき評価資料を作成する手法が一般化しているが、外部有識者らで構成する事業評価委員会からは「プレゼンテーションの資料が不親切」「担当者が事業内容を正確に把握できていない」といった苦言が相次いでいる。各自治体の担当者は誰にでも分かりやすい説明ができるよう知恵を絞る必要がありそうだ。
 19日に都庁で開かれた都内自治体合同の事業評価委員会(委員長・黒川洸計量計画研究所代表理事)では審議が荒れた。
 最初に説明に立った足立区は、21年3月の完成に向け、東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近(足立区栗原4~東伊興3)で進めている線路や駅舎の高架化事業の費用対効果などを報告。しかし、根拠となる具体的なデータの提示がなかったことから、ある委員は「都の原価に基づいていると主張されても、われわれには知る由もない」と厳しく指摘した。
 北区はJR赤羽駅周辺で住宅、道路、公園、保育園などを段階的に整備する事業の進ちょくなどについて報告したが、委員からは「資料から事業の全体像が読み取れない」と資料作成の不備を指摘された。
 インフラ整備のストック効果に関する情報発信が公共発注機関の重要テーマの一つとなる中、外部有識者が関わる事業評価の役割はより重みを増してきている。
 足立区は、鉄道の高架化によってもたらされる効果として、▽歩行者・自転車の移動円滑化▽踏切事故の減少▽街づくりの促進-などを挙げた。これに対しある委員は、事業の総便益(B)を総費用(C)で割った数値(B/C)の大きさが1・1にとどまっていることに着目し、「市街地を分断している踏切を除却する効果はもっと広い視点で捉えられる」と強調。ストック効果に対する発注者側の検証が不十分との見方を示した。
 同日は都、区、市がそれぞれ所管する計7の事業を審議。事業評価のあり方では都も厳しい指摘を受けた。すべての案件で事業継続が承認されたが、委員から個別の追加説明を要求されるケースもあった。
 各自治体担当者の対応で目立ったのが「国のチェックリストに基づいている」との回答だ。こうした姿勢に委員らは終始疑問を投げ掛けていた。国交省の中でも関東地方整備局の場合は、既存のチェック項目を基礎に、分かりやすい図や資料を独自に作成・提示する工夫を行っている。事業評価のあり方は、それぞれの発注者の創意工夫により改善可能な仕組みの一つだ。
 特別なプロジェクトに限らず、普段の公共事業の情報発信でも発注者の工夫が試されていることが同日の事業評価委員会で浮き彫りになったといえる。本年度の委員会の日程はすべて終了。都は来年度に備え、「説明資料の作成などで改善を検討していく」としている。

東京都事業評価委/公共事業評価の在り方に苦言/説明資料が不明瞭、改善求める

《日刊建設工業新聞》

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