価格は重要なメッセージである! 画像 価格は重要なメッセージである!

制度・ビジネスチャンス

 アベノミクスの影響によって、世の中のデフレ傾向はずい分是正されてきたようだ。しかし、ほんのちょっと前までは、世の中はデフレ傾向にあり、安い方向に向かっていた。価格設定を安くしないとなかなか売れない時代だったのである。しかし、とにかく価格を安くすればそれでよいのだろうか。

 先日、お会いした経営者はすばらしい業績を上げている経営者なのだが、かなりシビアな方でもある。その方に、業務の中核になるソフトウエアについて、どのように選んだのかを聞いてビックリした。

 何と業者に、「業界で一番高いソフトを持ってきてくれ」と言って注文したそうである。「この業界でNO.1になりたいから、NO.1のソフトを使う」というのが、その理由である。もちろん、機能なども聞いて購入したのだろう。ただ、価格で選ぶ、しかも安いものではなく高い方を選ぶというのは、一般的な常識とはかなり違っている。

「NO.1のソフトには、それなりの理由がある。安い方が売りやすいのに、あえて高い価格をつけているということは、それだけ機能に自信があるということ、責任を持つということだ。ソフトみたいな使ってみないとわからないものは、自信があって、責任を持ってもらわないと困る」

 日常の消耗品などは、どれを買っても同じということであれば、価格は安い方がいいに決まっている。しかし、どれを買っても同じではない場合は、価格が安いからいいというものではない。

 機能を評価できるのであれば、同じ機能の中で最も安いものを選べばいいだろうが、評価できないものもたくさんある。特にモノではなく、サービスだったら、受けた人によっても評価が変わってくるはずだ。

 価格は、一つのメッセージである。そこには、売る人の思惑が入っている。

「価格で判断するのは、どうか?」という方もいるが、価格も1つのメッセージだと思えば、それで判断することもあながち間違っているとは言えないだろう。

 中小企業の場合、価格勝負(低価格)だけで闘っていくのは厳しい。価格で勝負したら、大きい企業、体力のある企業には到底勝てないからだ。中小企業は何かしら特徴のある商品、大企業がやらないような隙間商品、セット商品、小ロット商品、あまり需要が見込めない濃厚なサービスなど、価格以外のところで勝負していかないとなかなか勝てない。

 その隙間のところで、お客様が認めてくれる最大限の価格をつける、これが中小企業の価格戦略ではないだろうか。

 京セラ創業者の稲盛和夫氏は価格について、「お客様が納得し、喜んで買ってくれる最大限の値段。このギリギリの一点で注文を取る」ことが、経営において大変重要であると指摘している。

 この一点をいかに見つけ出すか、そのためには自社の商品やサービスの客観的評価、お客様の状況やニーズ、考え方などを第三者的に見ていかないと適正な価格は決められない。それは、決して<原価+自社の利益>という単純な計算式では求められない。もっとお客様や市場を知り、研究する必要があるのだ。

 単純な考えや、自分の勘などという曖昧な理由で、価格を決めたりしていないだろうか。価格決定は、会社の将来をも左右することがある。お客様との接点以外から利益は生まれてこないのだから、価格の決定こそ社長の最大の役割と言えるのだ。


●北岡修一(きたおかしゅういち)
東京メトロポリタン税理士法人 統括代表。25歳で独立以来、税務会計業務を基本としつつも、経営診断、人事制度の構築支援、システム導入支援などコンサルティング業務にも携わってきた。現在は「会計理念経営」を掲げ、「会計を良くすると、会社が良くなる!」をモットーに、誠心誠意、中小企業を支援している。主な著作に『社長の「闘う財務」ノート ~ 社長の数字力が会社を鍛える』(プレジデント社)がある。


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《北岡修一》

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