【防災という新ビジネス:3】高品質多品種でニーズをつかむ! 画像 【防災という新ビジネス:3】高品質多品種でニーズをつかむ!

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼非常食に必要なのは、産地・素材を明らかにした安全性とコンパクト性
▼アウトドア食としての製品開発の先に、非常食としての可能性が見えてくる
▼高品質かつ多品種の展開で近年のニーズを掴む


■熊本地震で見えた、非常食としての乾燥野菜のポテンシャル

 地球の表面を覆う4つのプレートの切れ目に位置することから、“地震大国”と呼ばれる日本。16年4月には震度7の揺れを2度記録し、甚大な被害を生じた熊本地震が発生。10月21日には鳥取で震度6弱の地震が発生している。頻発する地震に加え、台風、噴火といった災害リスクの高い日本で、防災意識の向上は大きな課題だ。

 このような背景のなか、防災の側面から注目を浴びている食品がある。それが、コンパクトで手軽に食べられる乾燥野菜だ。熊本県熊本市で農産物の加工や販売を行う「野彩八巻」でも、5年前から無添加乾燥野菜「HOSHIKO」を販売。同社取締役の冨永詩織氏は、「本来のコンセプトは『美味しく簡単に日頃の野菜不足を解決できる食品』なんですよ」と話す。それが奇しくも地元・熊本が被った災害で、防災面の強みを発揮することになった。

「ちょうど『HOSHIKO』がテレビショッピングで紹介されていたのですが、地震で配送網がダメージを受けたため、オーダーの一部がキャンセルとなりました。それで本来、お客様に発送する筈だった『HOSHIKO』の在庫が大量に残されたんです」

 地震によって冨永氏の自宅も損壊。車中泊と会社での生活を余儀なくされたというが、そこで“食の課題”に自ら直面する。

「私自身が経験して分かったことですが、避難生活を何日か送っていると、野菜不足が顕著になってくるんです。避難所でも、衛生状況に問題があるため『野菜を洗って包丁で切って食べる』のも難しい現実があったようです」

 そうした環境の中で活躍したのが「HOSHIKO」だ。地震から1週間ほどが経つと、近所の病院でも備蓄食が底をつき、病院食の回数も1日2回に減らされる。それを聞いた冨永氏は、HOSIKOの在庫をすべて救援物資の箱に詰め、「熊本県産・ぶどう糖不使用・乾燥野菜」とだけ書くと、それを社員とともに病院や避難所に配布した。

 味と手軽さだけでなく、産地・素材を明確にした安全性、そしてコンパクトさが被災地では大きな利点となった。災害を通して、同ブランドの”美味しさを提案する乾燥野菜”と”非常時に健康障害を解消する乾燥野菜”の両側面を再確認したと、冨永氏は当時を振り返る。

《本折浩之/HANJO HANJO編集部》

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