【HJ HJ EYE:7】新しい「つながり」で始めるパブリックベンチャー 画像 【HJ HJ EYE:7】新しい「つながり」で始めるパブリックベンチャー

インバウンド・地域活性

 HANJO HANJO編集部が中小企業のビジネスに関わるキーパーソンに、中小企業の現在を問う「HJ HJ EYE」。今回は、「丸の内朝大学」や「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」などの都市、地方を問わず数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がける株式会社umari代表でプロジェクト・デザイナーの古田秘馬さんに、中小企業が地域ビジネスに参入する際のポイントについて話を伺った。

■時代は、脱「地域限定ビジネス」

――2001年から2009年までの8年間に、世の中に流通する情報の量は約2倍にも増えたと言われています(総務省情報通信政策研究所のデータより)。その一方で、本格的な人口減少社会に突入、これまでの産業構造ではありえない過渡期に入ります。古田さんは、次の時代に向かうときに何が重要であると考えますか。

古田 今は誰でも情報を発信でき、SNSで誰にでも会え、クラウドファンドでお金を集められる、そうしたツールが世界中に広がっている時代です。かつては“コンテンツありき”でしたが、一時期は“プラットフォームありき”に変わり、拡散量が増えたことで今もう一度“コンテンツありき”に戻り、何を拡散するのか、それをリアルとどうつなげられるかが問われています。

 時代の流れは別のものに変わっていくのではなく、スパイラルのように同じところに戻りながらも常に進化していると思うんです。それはあらゆる業界に通じること。団体旅行から個人旅行の時代になり、今は「やっぱり誰かと一緒に行くからおもしろい」というところに戻ってきている。しかし、それはかつての団体旅行と同じものではなく、共通の趣味を持つ仲間とのコミュニティ旅行という捉え方です。

 こうして時代が巡りながら進化していく中では、「何が正しいか」ということよりも「今はどういう潮目になっているか」を探ることが重要だと思います。

――古田さんは、都市と地域、世代などがつながる仕組みを作り、既存の関係性のなかから新しい関係性が生まれるようなプロジェクトをデザインしています。自らを「活動的にいろいろなものをつなげている地域プロデューサー」とも語っています。「つながり」は重要なワードになっていると思いますが、これはかつての地域社会にあった「つながり」とは異なり、今の時代に合うように進化を遂げた「つながり」ということでしょうか。

古田 そうですね、新しい形の「つながり」については、我々が手がけた「レストランバス」が一つの例として挙げられます。レストランバスは、高速バス事業などを行うWILLERグループと協同で運行している厨房付きの2階建てバスで、地域の料理を楽しみながら食材の生産地などを周遊するものです。すなわち、特定の地域社会をつなげる限定的なビジネスではなく、どんな自治体でも企業でも、あるいは個人でもつながることができるツールを提供するビジネスとなっています。そこが重要なポイントです。

 一時期流行したいわゆる「まちづくり」を行う企業や団体の少なからずは、自治体から助成金や補助金を受けることを半目的化していました。そこから、やはり会社として自ら利益を出していかなければ持続性がないという流れに変わり、今は地域に限定したビジネスではない、新しい形のパブリックベンチャーが出てきています。

――パブリックベンチャーと自治体や第三セクターとの違いは何でしょうか。

古田 パブリックベンチャーは、公的な領域の公益に挑戦するベンチャー企業です。自治体が行うのは公共サービスで公共施設を作りその運営を行います。第三セクターは指定管理業務や市役所業務の委託として請け負った施設の運営だけを行い、地域のブランディングや全体的な営業戦略までは考えません。パブリックベンチャーは、民が主体的に新しい取り組みにチャレンジし、現場の運営の前段階からその地域のマネジメントを行い、公共施設を作るのであればそれを核にビジネスをどのように仕掛けていくかを考えます。エンドの部分でサービスを提供することが目的ではなく、そのプロデュース全体が目的となっているのです。

《HANJO HANJO編集部》

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