【商工会議所の地方活性:1】情報・人脈を生かした“企画屋”に 画像 【商工会議所の地方活性:1】情報・人脈を生かした“企画屋”に

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼商工会議所に集まる情報とネットワークが、新たな商品開発の起点になる
▼商材とは直接関係のない企業にこそ、新商品のアイデアがある


■“廃棄物”や“地元の当たり前”が観光資源に!

 オープンイノベーションという言葉を良く耳にするようになった。ひとつの企業ではなし得ないビジネスが、別の企業やキーマンと協業することでカタチになる。では、地方の中小企業にとって協業すべき相手はだれか? その最も身近な存在のひとつが商工会議所の存在だ。

 富山県との県境に位置する新潟県糸魚川市。ここで、地域資源を活用した商品を次々と開発している、その中心的な存在となっているのが糸魚川商工会議所だ。活動の契機になったのは、15年3月の北陸新幹線開業。多くの観光客の増加が見込まれるこのタイミングに合わせて、地元の特産品であるヒスイを観光資源の目玉のひとつに据えた、「ヒーリングスポット・ヒスイの聖地 糸魚川」プロジェクトを発足させた。同会議所 総務課 課長 野本宏一氏は、当時を次のように振り返る。

「発端はヒスイの加工関連事業者から、それまで廃棄処分していたヒスイの切削紛を再利用できないか相談を受けたことでした。“特産品開発”と“美容・グルメ”、“パワースポット、その他”の3グループにわけてアイデアを出す中で、その話を美容関係の事業者に持ちかけたところ、誕生したのが“ヒスイネイル”です」

 ヒスイのパウダーをジェルに混ぜたご当地ネイル「ヒスイネイル」は全6色。例えば“ピンク色はラブ”、“ラベンダー色は五感のセンス”、“アクア色(ブルー)はメッセージ”などと各色にテーマを設定した。愛を求める場合にピンクのヒスイネイルを施すなどして、女子の心をくすぐる演出を行なっている。

 地元の飲食店もこれに興味を示し、ヒスイカラーに合わせた色合いの「ヒスイカクテル」を考案。中には地酒を使ったメニューもラインアップし、地産地消にも貢献する。

「ヒスイネイルは地元の美容系サロンで施術しますので、これを目当てに糸魚川へ訪れる女性客の増加を見込んでいます。提供し始めたのは2年前の14年3月から。大々的なPRは行なっていませんが、徐々に女性客が訪れるようになって、その手ごたえを実感しています」

■“企画屋”として力を発揮する商工会議所

 14年7月から販売を開始した「ヒスイカクテル」は、直後の1か月間で1000杯売れたという上々のすべり出し。観光客はもとより、地元住民にも親しまれているという。こうした商品開発で果たした糸魚川商工会議所の役割は大きい。ヒスイの切削紛の再利用というヒスイ加工関連事業者からの声を、美容関連事業者につないだことが「ヒスイネイル」誕生のきっかけとなり、「ヒスイカクテル」という形で飲食店にまで企画が広がった。

 では、こうしたアイデアはどのようにして生まれるのだろうか? 実は同会議所は野本氏が中心となり、毎年、会員企業に呼びかけてさまざまなテーマでプロジェクトを発足している。先の「ヒーリングスポット・ヒスイの聖地 糸魚川」プロジェクトもそのひとつで、あえてテーマとは関係のない業種の会員企業から有志を募り、アイデアを出し合う。

「テーマに無関係だからこそ自由なアイデアが生まれるのです。ヒスイの聖地プロジェクトでは、ハウスメーカー、タイヤの卸業、電気屋から金融機関までの異業種から30~40代の若手の皆さまに集まっていただき、その話し合いからヒスイネイルが誕生しました」

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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