【水産流通革命:4】直営店経営で安定したビジネスを作る! 画像 【水産流通革命:4】直営店経営で安定したビジネスを作る!

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼生産者が自ら店を手掛けるメリットは価格を自由に決められること
▼地域にない品種への挑戦が、停滞した養殖業における商機に
▼“自然相手”という意識からの脱却


 獲れたての新鮮な魚を漁師がその場でさばいて供するのを、テレビで見たことがある人は多いだろう。その場にいたら絶対にお金を払ってでも食べたい……。そんな、体験型を好むお客のニーズをうまくすくい、話題になっているのが丸正水産直営の「牡蠣家」だ。

 生産者自らカキ小屋を作る。シンプルだが、停滞している水産業の中でスマッシュヒットをあげているこの取り組み。このようなビジネスは漁業従事者にとって、どのような意味を持つのだろうか? 宮崎県延岡市で牡蠣家を経営する丸正水産社長 堀田洋氏に話を聞いた。

■見よう見まねで始めたカキ小屋経営

 そもそも牡蠣家は延岡市の水産物消費拡大推進協議会が、国の起業支援型地域雇用創出事業を活用。イワガキなどを炭火で焼いてその場で食べる店を発案したことに始まった。同協議会のカキ部門で責任者だった堀田氏が運営の中心となり、14年4月、生産者直営店「牡蠣家」がオープンしている。

 これには、店舗経営によって地元民の雇用を創出することに加え、どれくらいの人が集まるのかというマーケティングの目的もあったようだ。隣の大分県の情報誌に載せてもらい、フェイスブックなどのSNSも積極的に活用。また、当時ちょうど東九州道開通記念イベントが行われたが、ここに牡蠣家も出店して宣伝を兼ねた。結果、牡蠣家はテレビや雑誌などにも取り上げられ、「県外から車でやってくるお客さんも増えた」と堀田氏は話している。

 14年9月には協議会から外れ、経営は丸正水産に移された。当初は漁業とはまるで違う人の使い方などに苦労したという。さらに、店舗経営については全くの素人だったため、その経営方針についてはトップダウン方式ではなく、スタッフとの話し合いの中で一つ一つ決めていった。そこで拾った意見を経営に活かしたことが、今の成功における大きな要因になったようだ。

 生産者が直売へと販路を伸ばすとき、やはり一番の問題は変化する顧客ニーズへの対応だろう。農協や漁協、仲卸と一般消費者では、当然ながら満足度を覚えるポイントは大きく変わる。「牡蠣家」では一般論にとらわれず、現場が捉えた客のニーズを取り入れたことが、成功の要因となったようだ。

 では、生産者が自ら店を手掛けるメリットとは何か? 堀田氏は価格設定が自由に決められることにあるという。生産者にとって、相場という価格の壁は大きい。一次産業の厳しいところは原油代や材料費の高騰や、自然災害の影響があったとしても、それを考慮した価格を出しづらいところにある。しかし、生産者が経営する店では、かかった経費や利益をちゃんと含めて販売できる。それでも、通常の店に比べれば売値は遥かに安い。

《板谷智/HANJO HANJO編集部》

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