■ニュース深堀り!■高付加価値を実現、IoTの養蜂革命! 画像 ■ニュース深堀り!■高付加価値を実現、IoTの養蜂革命!

IT業務効率

 IoT(モノのインターネット化)。パソコンやスマホといったデバイスのみならず、様々な製品をインターネットにつなげ、あらゆる場面で”便利さ”を増していく動きが加速している。夏の暑い日、外出先にいながらも、スマホからインターネット経由でエアコンのスイッチを入れておく――そんな生活を実現しているのもIoTの技術だ。この先進技術の導入による改革の動きが、一次産業の現場でも起きている。8月開催の「はちみつフェスタ2016」では、養蜂家のためのIoT&AIデバイス「Bee Sensing」が出展され、多くの来場者から注目を集めている。

 一次産業の現場において、IoTは二つの側面を持っていると言えるだろう。第一に、生産者の利便性を増し、仕事の効率を高めていくこと。第二に、生産者と消費者を直接結びつけ、販売の促進へつなげていくことだ。

 「Bee Sensing」はこの潮流の中で芽吹いた、養蜂業界におけるIoT導入の先駆者的存在だ。開発元のアドダイスでは現役養蜂家と提携。彼らの意見を取り入れながら、センサーによって巣箱の中を監視し、その情報をインターネットを通じて養蜂家などに届けるシステムをつくり上げた。

 システムの導入は現在、養蜂家の抱えている問題を解決する可能性を秘めているという。その恩恵とはいったいなにか、IoTで養蜂業の何が変わるのか? アドダイス代表取締役社長 伊東大輔さんに話をうかがった。

■養蜂業最大のリスク”蜂の死亡”が巣箱を開けずにわかる

――まず現在の養蜂業者が抱えている問題についてお聞かせください。

伊東 ひとつは販売価格の下落で、蜂蜜本来の価値を認めてもらいづらかったこと。もうひとつが収穫量の不安定さなどがもたらす、生産性の低さです。

 蜂蜜は蜜を採ってきた花や、同じ花であっても季節が違うだけで、味わいは変わります。それがストレートに消費者に伝われば、まるでワインのような含蓄ある世界を楽しんでもらえるはずです。しかし、生産者側ではそこに労力を割くことができず、先のような付加価値を引き出せませんでした。

 Bee Sensingはこうした問題を総合的に解決できるソリューションとして提供しています。

――なぜ、IoTの導入でこれらの問題を解決できるのでしょうか。

伊東 蜜蜂の巣箱の中というのは、外から見ても何もわからない、ブラックボックスでした。巣箱を開けて、中を人間の目で覗いて確認する。これを内検(ないけん)といいますが、これがなければ巣箱が正常なのか異常なのか、何が起きているのかすらわかりません。そのため、蜂が全滅していたり、数が減っていたということも、起きた後でないと知ることができませんでした。

 例えば、越冬ですが、巣箱は冬の間は開けずに冬を越します。これは蜜蜂が温度が12度を下回ると寒冷麻痺で死んでしまうからですが、春になって確認すると、生き残っているか、全滅しているか二つにひとつという状態でした。

 Bee Sensingでは、センサーで巣箱の温度と湿度を常時監視して、クラウドに記録しています。異常が発見されれば、養蜂家さんのAndroidスマホに警告を飛ばすことで、養蜜蜂の危険を事前に知ることができるようにするわけです。

――これまでは、そういう危険が事前にはわからなかったんですね。

伊東 そうです。異常を事前に察知できることで、今までは不可能だった”対策”がとれるようになりました。これは台風シーズンなども同じです。内検をするにはひとつの巣箱ごとに5分から15分の時間がかかります。それを数十箱から数百箱も行なうので、丸一日、あるいは二日がかりの仕事になりました。

 巣箱の状況がわかっていれば、全数点検をしなくても、異常が起きている箱だけを確認するだけで済みます。巣箱を開けること自体も蜂にとってはストレスですから、そこに起因するリスクも避けられるわけです。

■IoT導入の先にある蜂蜜の高付加価値化

――IoTの導入が養蜂家の作業を効率化することで、そこにはコスト削減など、さまざまなメリットが考えられそうです。

伊東 具体的な効果はケースバイケースですが……。実は、養蜂業では養蜂家の移動にコストがかかることも多いです。ある養蜂家さんの例ですと、広島県内でも距離が離れた三カ所に巣箱を置いています。そのうち二カ所は島です。移動には車のガソリン代に船賃がかかります。さらに内検で全数点検すれば、一カ所の作業が一日がかりです。

 養蜂家さんによっては、移動が飛行機になるケースもあります。蜂が無事かを確認するためだけに、それだけの時間と費用をかけるのはたいへんなことですし、空振りすれば無意味に大きなコストをかけたことになります。

 IoTの導入は、目に見えるコスト削減だけではなく、見えていなかった逸失利益に対する効果明らかにすることにもつながります。

《久保田弥代/HANJO HANJO編集部》

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