熊本地震、阿蘇大橋地区、高所で無人化施工を採用 画像 熊本地震、阿蘇大橋地区、高所で無人化施工を採用

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 九州地方整備局は26日、熊本地震により大規模斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区(熊本県南阿蘇村立野)の土砂災害緊急対策工事現場で斜面上部に残る不安定土砂の除去作業(ラウンディング)の状況を報道関係者に公開した。山頂に近い危険と隣り合わせの過酷な作業現場では、急斜面につり下げられた無人化施工の小型バックホウが縦横に移動しながら土砂を着々と削り落としていた。17年の有人施工着手を目指し、年内にはラウンディングを終える見通しだ。
 緊急対策工事は斜面上部に残る多量の不安定土砂の崩落による二次災害を防ぐのが目的。監視装置を設けて工事用道路を整備し、斜面下部に不安定土砂を受け止める2段構えの土留め盛り土を整備した上で不安定土砂を斜面の下に落とし、その後にのり面対策工を行う。安全面を考慮し、斜面で行う作業には無人化施工を採用。施工は熊谷組が担当している。
 ラウンディングは土留め盛り土の上段側が完成したことを受け8月31日に着手した。使用するのはヘリコプターで空輸した分解組み立て式の小型改良バックホウ3台。改良土で埋め戻した土中埋め込みアンカーと滑車、ウインチ、ワイヤを設置し、V字形に張ったワイヤでバックホウを斜面につり、ウインチで移動させながら崩落の恐れがある表土や石を掘削して除去する。
 大分側に伐木用も兼ねた0・25立方メートル級のバックホウ(1号機)、中央と熊本側に0・15立方メートル級のバックホウ2台(2、3号機)を配備。除去する土砂は1号機で約3200立方メートル、2号機と3号機で約3700立方メートルの計約6900立方メートルを予定している。
 作業現場である山頂付近は国道57号との標高差が約350メートルあり、斜面の下部で稼働する大型重機が小指の先ほどの大きさに見える高所。最大45度の傾斜地につられたバックホウを20メートルほど離れた斜面から命綱を着けたオペレーターが目視とバックホウに搭載した可動カメラの映像を頼りに操作する。
 バックホウのバケットが阿蘇地域特有の「黒ボク土」や石などを次々に削り落とすと、土砂が落ちるたびに斜面を吹き上がってくる強風にあおられ、辺りには目も開けられないほどの土煙が舞っていた。
 作業は午前8時から午後7時まで雨天を除き休日返上で行っている。1台当たり1日に30~45立方メートル程度のペースで土砂を除去しており、年内にはラウンディングを完了する見込み。
 今後、ラウンディングと並行して下段側の土留め盛り土工や転石の除去、監視体制の強化などを年内に終え、17年から有人施工による土砂の排除やのり面対策工、道路や鉄道の復旧工法を検討するための調査などに着手する予定だ。
 九州整備局熊本地震災害対策推進室熊本分室の野村真一総括は「冬場になると風がさらに強まり、気象条件は厳しくなる。安全管理に気を付け、予断を持たず作業を進めたい」と表情を引き締めた。
 阿蘇大橋地区では4月16日の本震により長さ約700メートル、幅約200メートル、推定崩壊土砂量約50万立方メートルに及ぶ大規模斜面崩壊が発生。国道57号とJR豊肥線が土砂に埋まり、国道325号阿蘇大橋が落橋した。

熊本地震/九州整備局、阿蘇大橋地区不安定土砂除去作業を公開/高所で無人化施工

《日刊建設工業新聞》

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