【水産流通革命:3】食+情報で飲食店が産地PR拠点に 画像 【水産流通革命:3】食+情報で飲食店が産地PR拠点に

インバウンド・地域活性

【記事のポイント】
▼味という体験が産地ブランドの波及効果を高める
▼店名を産地名とすることで、メディア取材のPR効果を最大化する
▼流通の一元化がさらなる販路を開拓する


 全国の第一次産業の現場には、まだまだ人に知られていない名品が埋もれている。人に知られれば売れるだろうが、流通や価格、情報発信力など、いくつもあるハードルをいち業者や地域の力だけで解決していくのは困難だ。

 これに、東京の“食”の現場からチャレンジしている企業がある。

 funfunction(ファンファンクション)では「北海道八雲町」を皮切りに、ズバリ食材産地の名前を冠した“ご当地居酒屋”を都心部に展開している。ここでいう“ご当地”とは、特定の産地から食材を仕入れているだけではない。産地の自治体から“公認”のお墨付きを受け、居酒屋でありながら地域の公式アンテナショップとしての機能も持たせている。

 つまり、食材のみならず、産地の情報までを仕入れて、それを付加価値として提供しようという取り組みだ。同社代表取締役の合掌智宏氏によると、この“アンテナショップの機能を持った居酒屋”という発想は、八雲町を訪れた際に「この町はもっと有名になってもいいんじゃないか」と考えたことから生まれたという。

■自治体の“公認”で地域の食をまとめる

 合掌氏がイメージした新業態の店舗を開くにあたり、いちばんのネックになったのが流通だった。既存業者を使っていては、運送費で安さのメリットが吹き飛ぶ。しかも生産者を一カ所ずつ、個別に当たっていては手間がかかりすぎ、経路も煩雑化するばかりだ。

 実際に、八雲町には漁協が複数あり、しかも直販は手がけていないという状況だった。そこで合掌氏は、自治体の協力を得ることに活路を見いだす。彼らに生産者とのやりとりや仕入れの窓口としての役割を担ってもらうことで、物流のスタート地点になってもらう。そうして仕入れた食材を、生産地の魅力を全面に押し出した店舗で、消費者に向けて発信していこうという仕組みだ。

 自治体の“公認”になったことで、ご当地居酒屋の仕組みは軌道に乗り始める。16年6月には「熟成魚場 福井県美浜町」をオープンしたが、同店では“熟成魚”という新たな価値観も提供した。

 熟成魚とは一週間以上寝かせて脂が回ったものを刺身にするという、美浜町ならではの食べ方。当地では当たり前の文化だが、東京では知られてなかった食べ方として、他店にない差別化に成功している。情報発信地である東京だからこそ、情報に飢えた目を持つ。その目は地域の魅力の掘り起こしにおいて、有効であるに違いない。

《久保田弥代》

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