どうするどうなる?東京五輪! 交通インフラ対応! 画像 どうするどうなる?東京五輪! 交通インフラ対応!

インバウンド・地域活性

 ◇街づくりと一体で機能向上
 ブラジルのリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが閉幕し、4年後の2020年東京大会の開催に向けた準備が本格化する。競技会場が集積する東京圏では、鉄道や高速道路などの交通インフラを管理・運営する各社が選手や観客を安全・安心かつ快適に輸送するための施設改良や設備更新などを推進。周辺の街づくりと一体となって交通機能を高度化する取り組みも目立つ。限られた時間の中で、国や都、関係機関などとの調整を進めながら、ハード・ソフト両面から交通機能とサービスの向上を急ぐ。
 今年6月に東京大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)となったJR東日本と東京メトロ。地上と地下路線によって都心の公共交通ネットワークを支える両社は、これまでも取り組んできた安全・安心で快適・スムーズな輸送サービスの提供に向けた対策に一段と力を入れる。
 JR東は20年五輪を見据えたプロジェクトを6月に始動させた。多くの観客の利用が見込まれる競技会場周辺の駅や乗換駅などで、ホームやコンコースの拡幅、バリアフリー設備の拡充などを推進。先行して千駄ケ谷、信濃町、原宿の3駅の改良計画をまとめ、総工費計約250億円を投じてホームドアやエレベーターの整備、出入り口や改札口の増設・拡張などを進める。
 山手線などの駅で整備が進むホームドアについては、軽量でコストダウン、工期短縮が図れる新形式のドアの実用化に取り組む。八高線拝島駅の昇降式ホーム柵に続き、新開発の横開きフレーム構造のホームドアを横浜線町田駅に試行導入する。誰でも安全に安心して利用できる鉄道のバリアフリー化に向け、冨田哲郎社長は「新型の転落・接触防止設備の機能を検証し、乗降客数など各駅・線区の特徴を踏まえて導入するタイプを見定め、対策を着実に進める」と話す。
 20年春に品川駅~田町駅間に暫定開業する山手線・京浜東北線の新駅周辺では、世界に向けた日本のゲートウエーとなる国際交流拠点の創出を目指して開発を進める。冨田社長は「広い駅前広場を設けて駅と街が一体となったモデル開発として、駅前周辺では五輪期間中のパブリックビューイングのほか、駅自体が街と融合するようなイベントなど、新しい駅づくりに取り組む」と意気込む。
 20年五輪の開催決定を受け、東京メトロは「世界トップレベルの安心」「地下鉄を分かりやすく快適に」「沿線地域との連携、東京を楽しく」をコンセプトに掲げた魅力発信プロジェクトを14年9月にスタートさせた。
 大規模地震・浸水対策への対応強化を推進するほか、競技会場の最寄り駅ではホームドアの先行設置や、ホームと地上部をエレベーターで結ぶ複数のバリアフリールートの整備を進める。
 東京・港区内で約170億円を投じて整備を進める日比谷線の虎ノ門新駅については、五輪前の暫定開業を目指す。近隣で並行して進む再開発事業で建設されるビル低層部に配備されるバスターミナルとも接続し、東京圏の交通ネットワークのつなぎ役としての機能強化を図る。
 リオ五輪を視察した同社鉄道本部鉄道統括部の岩本大史オリンピック・パラリンピック調整担当課長は「リオの競技場は駅までの道が広く、距離もあるため、観客の移動は比較的スムーズだった」と分析。一方で、東京大会については「駅と競技施設が近く、道幅も狭いため、駅舎を改良しても地上部で観客が滞留する恐れがある」と指摘する。歩道の拡幅や車道を一時的に歩行者に開放するなど、安心・安全の旅客輸送には行政側との協力・連携が欠かせないとみる。
 東京五輪の開催決定の翌日、首都高速道路会社は社長をトップとする「2020東京オリンピック・パラリンピック首都高推進本部」を設置。外部有識者によるアドバイザリー会議も設け、ハード・ソフトの両面から首都高の交通機能やサービスの向上を推進している。
 競技会場周辺に張り巡る首都高速道路のネットワークを安全・快適に利用できるよう、新設・改築や大規模更新など関連プロジェクトを着実に進めるとともに、高速道路の景観向上にも積極的に取り組む。「五輪景観向上アクションプログラム」を策定し、計画的に実施する道路施設の補修・補強に合わせて美化対策や塗装の塗り替えを進める。
 宮田年耕社長は「新線建設プロジェクトでは横浜2路線(北線、北西線)と晴海線を、五輪までの期日を守って事故なくやり遂げる」と力を込める。

交通インフラ各社/東京五輪へ準備加速/駅舎や道路の新設・改良で安全・安心提供

《日刊建設工業新聞》

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