【HJ HJ EYE:6】中小企業のメッカ、ここにあり。 画像 【HJ HJ EYE:6】中小企業のメッカ、ここにあり。

IT業務効率

――浜野製作所ではベンチャー企業の開発支援も行なっています。これには、どのような意図が込められているのでしょうか?

浜野 我々のテーマのひとつに下請け体質からの脱却があります。メーカーが図面を引いて、仕様を決めている限り、町工場には品質や納期、コストなどの決定権がありません。浜野製作所がスタートアップベンチャーの入居を募集している理由のひとつは、その状況を改善することにあります。設計や製造、事業計画を含めてアドバイスをすることが、適切な納期やコスト削減につながっていきます。

 一方で、彼らも我々のアドバイスを元に不要な部品や工程を省略したり、製造時のミスを予防でき、いち早くプロダクトを世に送り出すことができます。モノづくりは図面通りにつくったからといって、必ずしも正しい動作をするものではありません。その理由を探しているうちに、開発期間はどんどん伸びてしまいます。

――製造業の現場にいるからこそ、モノづくり全体を見渡すことができるんですね。墨田区の町工場が世界を相手にするベンチャー企業を支え、新たなモノづくりが生まれていくかと思うとワクワクします。

浜野 シリコンバレーの役割を、墨田区の町工場でも果たせるのではないかと考えています。その一環として積極的に参加しているのが、全国各地で行なわれているビジネスプランのコンテストです。先日はシンガポールで開催されたコンテストで審査員を務めました。優勝者には「そのプランをいっしょにやらないか?」と声をかけ、そこから彼らのインキュベーションを手掛けることもあるわけです。

■産学連携が生む、得難い教育訓練

――浜野製作所というと、産学連携の取り組みも注目されています。電気自動車「HOKUSAI」、深海シャトルビークル「江戸っ子1号」といった具体的な成果を出すなど、事業の中でも大きなポジションを占めているように見えます。

浜野 実際のところ我々は産学連携で開発した製品を、そのまま事業の柱にしようとは考えていません。そもそも電気自動車は大手が競合になりますし、事故があったら補償もできないでしょう。産学連携の開発に参加したいちばんの理由は教育訓練です。業界も年齢も違う人と油まみれになって何かを生み出すことは、一生忘れない経験になります。

――大学と協力した教育訓練というと、まず思い浮かべるのがインターンシップです。浜野製作所でも受け入れを行なっていますが、こちらは成果を出しているのでしょうか?

浜野 一橋大学の関満博教授が以前から墨田区の産業振興に携わっていて、あるイベントで知り合ったことが、私が大学との関わりの始まりです。そのときから一橋大学の学生をインターンシップとして受け入れています。ある年のことです。彼らは“ネットを使って売り上げを倍増させる”というレポートを書いてきました。しかし半分は何かを引用しただけのもので、浜野製作所の営業が何をしているかを調べていないわけです。これではダメだと、「ネットで情報を調べるのもいいけれど、最初にやるべきなのは現状調査だろう」と私が諭したわけです。

《HANJO HANJO編集部》

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