16年度選奨土木遺産、湘南港や鳴子ダム、火ノ山砲台など 画像 16年度選奨土木遺産、湘南港や鳴子ダム、火ノ山砲台など

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 土木学会(田代民治会長)は20日、16年度の「土木学会選奨土木遺産」として24件を選定したと発表した。1964年の東京五輪で築造された「湘南港」や、国内初の本格的100メートル級アーチ式コンクリートダム「鳴子ダム」などが選ばれた。江戸時代から昭和30年代までに整備された現存する土木施設を対象に、社会へのアピールやまちづくりへの活用といった観点から選奨土木遺産選考委員会(小林一郎委員長)が審査を行った。
 16年度の土木学会選奨土木遺産は次の通り(▽件名=〈1〉所在地〈2〉完成年〈3〉選定理由)。
 ▽旧網走線開業時の鉄道施設群=〈1〉北海道陸別町、本別町〈2〉本別川橋梁(1908年架設)、陸別駅転車台(1910年設置)〈3〉明治期に建設され、北海道東部が鉄道とともに発展したことを後世に示す貴重な遺産
 ▽開拓使三角測量基線-勇払基線、函館助基線=〈1〉勇払基線(北海道苫小牧市、むかわ町)、函館助基線(北海道北斗市、函館市)〈2〉勇払基線(1873年)、函館助基線(1875年)〈3〉正確な北海道地図作製のため欧米の近代測量技術で行われた三角測量基線の位置を示す日本の基線測量の嚆矢(こうし)
 ▽磐越西線鉄道施設群=〈1〉福島県、新潟県〈2〉1904~1922年〈3〉明治・大正期の多様な橋梁群、ずい道、駅舎、転車台群を有し、震災時の石油製品輸送などライフラインとして東北と関東をつないだ貴重な遺産
 ▽四ツ谷用水=〈1〉仙台市青葉区〈2〉1624~1703年、1957~1961年に補修〈3〉広瀬川の河岸段丘の微地形を巧みに利用し、自然流下の水路配置と地下水涵(かん)養を行う仙台の水環境を支える近世遺産
 ▽十三湖水戸口突堤=〈1〉青森県五所川原市十三〈2〉1946年〈3〉地域を苦しめた度重なる水戸口閉そくによる浸水被害を解消し、岩木川の治水と津軽平野の発展の礎となる
 ▽鳴子ダム=〈1〉宮城県大崎市〈2〉1957年〈3〉複雑なカルデラ地形の地に外国の技術者を招かずに日本の技術者だけで建設した国内初の本格的100メートル級アーチ式コンクリートダム
 ▽わたらせ渓谷鉄道関連施設群=〈1〉群馬県みどり市、桐生市、栃木県日光市〈2〉1912~1930年〈3〉近代日本の産銅輸送の根幹を担った足尾鉄道草創期の息吹と情趣を伝える施設群
 ▽響橋=〈1〉横浜市鶴見区〈2〉1941年〈3〉幻のオリンピックと呼ばれる第12回東京大会マラソン折り返し地点に築造された荘厳なデザインの橋梁
 ▽江連用水旧溝宮裏両樋=〈1〉茨城県下妻市本宗道〈2〉1900年〈3〉江戸期に開設された灌漑(かんがい)用水の分水施設で、明治期にれんが造りに改築された地域の歴史的資産
 ▽南高橋=〈1〉東京都中央区〈2〉1932年〈3〉昭和7年に架けられた都内最古の鋼鉄トラスの道路橋で、本体に明治時代の旧両国橋の一部を使用
 ▽信濃川千手水力発電所施設群=〈1〉新潟県十日町市〈2〉1938年~1954年〈3〉鉄道網の電化を目的として昭和初期に建造され、現在も鉄道輸送を支える施設群
 ▽小山樋門=〈1〉千葉県松戸市〈2〉1898年〈3〉明治31年に建設された3連アーチのれんが造水門で、千葉県内で現存するれんが造水門の中で最も古い歴史的価値のある構造物
 ▽湘南港=〈1〉神奈川県藤沢市〈2〉1964年〈3〉第18回オリンピック東京大会で築造され、市民に開かれた海洋文化の発展に大きく寄与
 ▽榎戸新田橋=〈1〉千葉県八街市〈2〉1897年〈3〉明治初年から進められた新開地への鉄道の開設に伴い建造された県下最初期のれんが造アーチ橋
 ▽向野橋=〈1〉名古屋市中村区、中川区〈2〉1930年(本体は1899年)〈3〉明治期に京都保津峡に架けられた当時最大スパンの典型的米国製トラス橋が、昭和初期に跨(こ)線橋として移設転用された希少な遺産
 ▽名古屋港跳上橋=〈1〉名古屋市港区〈2〉1927年〈3〉昭和初期に名古屋港内に設けられた日本に現存する数少ない鉄道可動橋の一つ
 ▽宮川堤=〈1〉三重県伊勢市中島〈2〉17~18世紀〈3〉近世に伊勢の地を守るため築かれた宮川下流右岸の堤防で、現代でも治水上機能する
 ▽三重高等農林学校農場の給水井戸=〈1〉三重県津市栗真町屋町〈2〉1924年〈3〉三重大学農学部の前身である三重高等農林学校の設立後に農場の土地改良のために教官と学生が協力して整備した灌漑施設
 ▽百寿橋=〈1〉奈良県大和郡山市〈2〉1936年〈3〉地元住民の寄付で郡山城中堀に架けられた特徴的な高欄を持つRC橋
 ▽旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群=〈1〉奈良県五條市〈2〉1959年(五条~城戸間)〈3〉紀伊山地を鉄道で貫く大構想に懸けた先人の志を未来に語り継ぐ貴重な遺産
 ▽火ノ山砲台=〈1〉山口県下関市〈2〉1891年〈3〉関門海峡防備のために明治期に築造された下関要塞(ようさい)のうちの一つ
 ▽宮内川青石護岸=〈1〉愛媛県八幡浜市保内町川之石〈2〉昭和初期〈3〉伊予の青石を石材とした矢羽根積みの護岸で、青石が織りなす綾(あや)が美しい遺産
 ▽佐井川橋=〈1〉福岡県吉富町直江〈2〉1920年〈3〉大正期に建設された初期の鉄筋コンクリート桁橋
 ▽姶良橋=〈1〉鹿児島県姶良市〈2〉1932年〈3〉昭和初期に建設された橋長150メートルを超える鉄筋コンクリート桁橋。

土木学会/16年度選奨土木遺産を選定/湘南港や鳴子ダムなど24件

《日刊建設工業新聞》

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