【水産流通革命:1】多品種少量ニーズにITで応える 画像 【水産流通革命:1】多品種少量ニーズにITで応える

IT業務効率

【記事のポイント】
▼少量しか水揚げされない高級魚に、新たな販路拡大のチャンスが
▼仕入れと目利きの外部委託が、飲食店にとって手間と時間を短縮につながる


■全国の魚介をネット経由で産地直送する

 ひとりもしくは会社の同僚と連れ立ってふらりと入った居酒屋や和食料理屋で、つい頼みたくなるのが刺身や煮魚といった魚料理。小さな個人店のわりに、扱う魚介の種類が多い。あるいは、鮮度が良いわりに値段が手ごろな店が東京23区内にあるとすれば、もしかすると「魚(ウオ)ポチ」を利用しているのかもしれない。

 「魚ポチ」は飲食店専門の鮮魚仕入れサイト。“スマホで簡単、鮮魚発注”をうたい文句に、13年7月に開設された。16年8月末現在、登録店舗数は東京23区内で5000件。ネットを経由した鮮魚仕入れでも最大手のサービスのひとつだ。

 築地や産地から直送の魚介を、スマホやタブレットで1尾から注文できる。午前3時までにスマホで注文すれば、当日の午後、つまり一眠りして店に出勤するタイミングで魚が届く仕組みだ。主に個人経営の飲食店が利用していて、うち6割は和食の居酒屋だという。

 提供する魚は1500種類以上で、貝類、下処理済みの加工、惣菜、冷凍品も扱う。出どころは、同社のバイヤーが築地市場で仕入れた魚介が6割、全国各地の産地直送が4割だという。

 では、どういった漁業者がこの「魚ポチ」のプラットフォームを利用しているのか? ここでいう産地直送の産地とは、北海道や三重、長崎などが中心。取引先は、漁協もあれば、個人の漁師もいるという。詳しい産地や、漁協と漁師の内訳は公表してもらえなかったが、取材時に見せてもらった日本地図には、太平洋側から日本海側まで、全国の沿岸にぐるりと取引先が点在するのが見て取れた。

■“多品種少量買い付け”のニーズにITで挑む

 ITによるプラットフォームを経由することで、漁業者と飲食店主をつなぐ流通はどう変わるのか? 同社によると、「需給バランスの元、前発注するスキーム」だという。広報担当者はこう話す。

「弊社の場合、大手の量販店さんが限られた品種を大量に買い付けるのに対して、“多品種少量買い付け”の方針を取っています」

 その、日々の売買の流れはこうなっているという。

「産地の魚は先に買い付けをし、その日水揚げされた魚を弊社のシステムに入力していただいたうえで、築地市場と、弊社の直営の仲卸もある大田市場に送ってもらっています。輸送移動中にその日の魚の情報を、飲食店へ向けてメルマガで公開。産地の魚と飲食店をマッチングさせ、ピッキングは弊社が築地や大田で行なっております」

 産地からの送料に関しては公開していないが、築地などから飲食店への送料は、飲食店が負担しているという。値段は、市場の流通と同じく、同社が買い付けて、マージンを乗せ、値を付けて販売する。

 では、もし仕入れた魚を「魚ポチ」で売りさばけなかったとしたら? その場合には、大田市場で仲卸を、中目黒や戸越公園、都立大学などで魚屋「sakana bacca(サカナバッカ)」を5店舗直営しているため、最終的には売りさばけるのが同社ならではの仕組みといえる。

《塩月由香/HANJO HANJO編集部》

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