【卸・問屋の新戦略:3】ネット問屋は効率化の必然である 画像 【卸・問屋の新戦略:3】ネット問屋は効率化の必然である

IT業務効率

【記事のポイント】
▼問屋のIT化で小売店は仕入れの、メーカーは営業の出張経費がゼロになる
▼電話やメールを利用するよりも、日常的な業務を大幅に省力化
▼バックエンドの決済サービスや受発注システムそのものが、新たな商売の種である


■8期連続増収増益の先駆けネット問屋の勢い

 東京や大阪など主要都市で行われる商談会で商品を卸値で買い、ひいては地方都市でさらに卸値で売る。対面を基本とした既存の一次・二次問屋の存在意義をゆるがしているのが”ネット問屋”の台頭だ。いまや消費者があらゆる商品をインターネット上の写真や説明、口コミを基に購入する電子商取引が一般的になったように、全国各地の小売店側もまた”出張経費ゼロ”の魅力に惹かれ、卸・仕入れサイトで商品を仕入れる流れが生まれている。

 アパレルや雑貨商品の卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」はそうしたネット問屋の先駆けだ。02年に開設し、16年4月末現在、商品掲載数は約 56 万点。1138 社の出展企業と全国5万2372店舗をつなぐ企業間(BtoB)取引の一大モールに成長している。

 運営するラクーンは現在、スーパーデリバリーを主力事業に8期連続の増収増益で、今年3月には東証一部に上場。7月末に発表された16年4月期の有価証券報告書によると、平均年齢33.4歳の100人強の社員で経常利益2億5千万円を稼ぐ。

 著書『ネット問屋で仕入れる 小さなお店のスーパー仕入れ術』(商業界)を09年に出した小方功社長に、問屋とITを組み合わせた理由や今後について話を聞きにいくと、こんな言葉が返ってきた。「ネットだから成功したって言われるけど、そうじゃないんだよ」。いま必要とされているものを提供するから、右肩上がりの成長を続けているのだという。

■「勘と度胸と経験」の大半をIT化しサービス化

 問屋流通でいま求められているものとは何か。小方社長は、まず小売店が自社を利用する背景について、”小売店のセレクトショップ化と地方問屋の廃業”を理由に挙げる。

 消費者ニーズが多様化する中で、ユニークさがあれば地域の小売店でも生き残ることが可能な現在、無数の商品の中から自社に合ったものを1点から購入できる同サイトは利便性が良いのだという。同社サイトには毎日、「本日の新着商品516商品」といった風に新着情報が提供され、年々早まる世間の流行のスピードにも対応する。地方問屋が倒産する動きもある中で、「いまでは仕入れは100%スーパーデリバリーだという小売店もある」という。

 一方、メーカー側にとってはサンプルを持って各地に営業に回る必要がなくなる。同社を利用する企業はメーカー・小売店、共に中小企業が大半だというが、「従来のファクスと電話、メールでの注文作業を効率化したくて、取引先を連れて参入する大手メーカーもある」という。実際、14年末にはワールドが参入し、業界を驚かせた(現在は撤退)。

 さらに、同サイトの利便性を高めているのが、同社のほか事業だ。11年にすべての請求業務を代行するBtoB後払い決済サービス「Paid(ペイド)」を、14年に受注・発注をクラウド上で一元管理し効率化する「COREC(コレック)」を提供。今年7月には“取引には保証をかける時代”と題して、年商5億円以下の中小企業が利用できる、月額定額制でかけ放題のネット完結型・売掛保証サービス「URIHO(ウリホ)」をリリースした。

《塩月由香/HANJO HANJO編集部》

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