熟成国産豚の濃厚味にブームの予感、スーパーや飲食店 画像 熟成国産豚の濃厚味にブームの予感、スーパーや飲食店

制度・ビジネスチャンス

 「熟成牛」の人気にあやかろうと、国産豚肉でも、じっくり寝かして売り込む動きが出ている。牛肉同様、肉は柔らかく、うま味も凝縮。そんな特徴を武器に、スーパーでは、試食の定番ハム・ソーセージを押しのけ、集客力を高める。“熟成”を付加価値に客単価のアップにつなげる飲食店も登場するなど、消費者への認知は広がっている。
試食前面に売り込み スーパー
 首都圏で展開するスーパーいなげや(東京都立川市)は4月から、2店舗で「熟成豚」の販売を始めた。広報は「いなげやでしか販売していないような付加価値の高い商品で他店と差別化を図る」と強調。1カ月に2回試食販売を展開するほどの力の入れようだ。ハムなどの加工品の試食に比べ、「購入に結び付く割合が3倍ほど高い」(広報)という。

 8月上旬、ブルーミングブルーミーららぽーと立川立飛店(立川市)の精肉売り場に「国産熟成豚切身(ロース)」が並んだ。通常売価は100グラム398円。この日は特売で約2割引き。一般国産豚肉の6割高とあって、用意した試食品に多くの客が押し寄せる。

 ロースのカットステーキを口に入れた40代の女性は、「塩だけの味付けなのに味がとても濃い」と買い物籠に1パック入れた。

 肉は鮮やかな桃色で、パックを開けると甘い香りがし、火を通すとさらに香りが増す。消費期限は製造日を含め3日と、通常の精肉と変わらない。

 同社は「ハレの日に、いつもより高級な物を食べたいという消費者に売り込みたい」と話している。

珍しさ受けて集客増 飲食店
 スーパーよりも先に、飲食店では人気が広がっている。肉バル「CRAFTSMAN,S KITCHEN」(千代田区)は「熟成豚」のロースステーキ(200グラム1480円・税別)が看板商品だ。塩で味付けした肉をオーブンで焼き、客は好みに応じて塩とマスタードを付けて食べる。

 親会社である千葉県の養豚会社から仕入れた骨付きバラやロースを店内に備えた熟成庫で、14日間寝かす。豚肉の熟成を昨年秋から開始。直近1カ月の注文数は当初の5倍に増えた。川口誠二店長は「熟成豚は珍しさが受け、集客につながっている。7、8割の客が注文する」と話す。

 熟成豚料理とワインの店「神田Bistro29」(千代田区)は、岩手産「岩中豚」や三重産「松阪ポーク」など10種類の銘柄豚を熟成し提供する。今年1月にオープンした同店には、銘柄豚にさらに付加価値が付いた肉を食べたい人が全国から集まる。同店は「豚肉の価値をより高めて販売したい」と強調する。

 飲食店検索サイトのぐるなび(千代田区)によると、「熟成豚」を取り扱う店舗数は7月、前年同期の約2倍に増えた。一昨年と比べ約3倍だ。広報担当は「右肩上がりで伸びている」と話す。

夏“苦戦”ロース販路拡大狙う 食肉卸
 食肉卸は「熟成豚」を商機と捉える。「熟成牛」の市場をけん引する小川畜産食品(大田区)は今年4月、スーパーを中心に試験販売を開始した。「夏場は特に動きが悪く、1カ月当たり仕入れの3割が余ることもある」(営業部の斎藤一紀副部長)ロースの新たな売り方として注目する。

 風を送って表面を乾燥させる「ドライエイジング」と呼ばれる手法で、千葉産豚ロースを40日間熟成。「うま味成分のアミノ酸が倍増し、濃厚な味わいになる」(営業部)という。

 現在、約20店舗のスーパーを中心に販売。1カ月で150頭分のロース1トン弱を売り上げる。斎藤副部長は「当面の目標は1カ月に1.5トン」と意気込む。

 大手食肉メーカーのスターゼン(港区)のグループ会社も4月から九州産の「熟成国産豚」を販売する。製法は、「ドライエイジング」で小川畜産食品と同様だが、熟成期間は25日間と異なる。部位は料理に使いやすいロース。ロースは熟成後の変色も抑えられるという。販売は好調で生産量は年間10トンを目指す。肉の加工、販売を担うスターゼンミートプロセッサー(同)の樋田博取締役は「熟成牛の高騰による代替需要もある」と明かす。(鈴木薫子)

濃厚味 ブームの予感 熟成国産豚

《日本農業新聞》

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