■ニュース深掘り!■DMOの課題は予算、その対応は? 画像 ■ニュース深掘り!■DMOの課題は予算、その対応は?

インバウンド・地域活性

 地域の観光事業を取りまとめるDMO。彼らの運用や設立に役立てるために、観光庁は観光協会などを対象にアンケート調査「国内外の観光地域づくり体制に関する調査業務の報告書」を実施。その結果を16年7月に発表した。そこで、最も大きな課題として挙げられていたのが「予算」の不足だ。

 DMOは観光の目的地(Destination)を管理(Management)、かつ販促(Marketing)する組織(Organization)のこと。観光事業者、行政(観光課や観光協会など)、地域住民といった、観光振興において利害をともにするステークホルダーを一体化させる”調整役”としての機能を持つ。既に海外ではさまざまな観光地がDMOを組織し、観光事業の振興に役立てている。

 国内におけるDMOの発祥は、観光庁が15年11月に創設した登録制度「日本版DMO候補法人」までさかのぼる。20年には4000万人規模を目指すインバウンドのような大きな時流を取り込むには、海外での誘致活動から、国内での多言語対応やWiFi導入まで、組織だった大きな規模での対応が必要。さらに、地域の魅力をどのように売り出すか、その将来のビジョンを取りまとめることも大切だ。そのため、DMOには一段上の視点から地域観光を見る、いわゆる舵取り役としての活動が求められている。

 とはいえ、過去に例があった組織ではなく、設立にあたってさまざまな課題がハードルとなっている。その一番大きなものが、先に出てきた「予算」の問題だ。既に稼働しているDMOでは、どのような活動を行うとともに、この問題にどう対応しているのか? 同報告書で観光地域づくりの先進事例として紹介されている「一般社団法人 せとうち観光推進機構」(以下、機構)の事業本部長、村橋克則さんに話を聞いた。

■7県が一体となって瀬戸内をブランド化

――機構の活動についてお教えください。

村橋 機構は瀬戸内海を共有する兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県の7県が県境を越えて一体となり、「瀬戸内」のブランド化と観光地経営を行うためのプラットフォームです。日本版DMO「せとうちDMO」の登録法人となっています。瀬戸内に多くの観光客を呼び込むのが大きな役割で、そのためにマーケティング活動とプロモーション活動を行っています。

――マーケティング活動とは、例えばどのようなことを行っているのでしょうか?

村橋 代表的なのは外国人観光客の動態調査です。4月に活動し始めたばかりで、具体的に公表できるものはまだありませんが、訪日外国人観光客が観光の際に活用するスマートフォンやタブレットのWi-Fiデータを収集し、外国人観光客の瀬戸内地域での移動ルートを探っています。

 例えば、空港から広島県の宮島を訪れ、その後に愛媛県の道後温泉を巡る外国人観光客が多いことがわかれば、宮島と道後温泉を結びつけるプロモーションを仕かけることができます。外国人観光客数が多い時期に合わせてお祭りやイベントを開催したりなど、集客力を高めるための観光施策を打ち出す際に役立てたいですね。

――プロモーション活動はいかがでしょう?

村橋 主な活動はホームページで公開していますが、海外向けでは6月に台湾で開催された「日本の観光・物産博2016」に瀬戸内として初出展し、訪日意欲の高い台湾の方々に、瀬戸内の魅力を伝えました。結果、訪日旅行を取り扱う台湾の有力旅行会社の企画担当者、現地の旅行業界関係者などとの商談につながり、台湾から瀬戸内への旅行商品作りに前向きな反応を得られました。8月5~8日に台湾で開催された「台湾2016美食展」にも瀬戸内ブースを出展し、“瀬戸内の食”の魅力を発信しています。

 さらに、ヨーロッパ圏に向けたプロモーションとして、スイス人ファミリーを招待し、瀬戸内地域をキャンピングカーで巡る様子をネット上で情報発信しました。スイス人ファミリーの実体験を通じて瀬戸内の魅力をPRする、ユニークな取り組みだといえるでしょう。

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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