世田谷合同庁舎が完成、国と自治体施設の合築整備が広がる 画像 世田谷合同庁舎が完成、国と自治体施設の合築整備が広がる

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 国と地方自治体が連携して官公庁施設を整備する動きが活発化している。7月に東京都世田谷区に完成した「世田谷合同庁舎」は国土交通省関東地方整備局、東京都、世田谷区の3者共同で営繕事業を実施した初の合築案件だ。社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)建築分科会が17年度の事業採択を了承した3件のうち2件が自治体の施設との合築整備となる。今後、地域のニーズに応じて地元に貢献できる国の官庁施設整備が一段と広がっていきそうだ。
 国交省は地域と連携した国有財産の最適利用を総務、財務両省と推進している。全国を331の地域に分け、エリア内に点在する庁舎の今後のあり方を示した「施設整備構想」を13年度に大幅に見直し、国の合同庁舎と自治体施設との合築も、今後の施設整備の一つの観点として取り入れた。
 国・都・区の施設を初めて合築する世田谷合同庁舎は、RC造地下1階地上6階建て延べ約1万3100平方メートルの規模。1階に区の施設である保健福祉センターと図書館、2~4階に世田谷税務署など国の施設、5~6階に世田谷都税事務所が入る。
 建設地にはもともと税務署と都税事務所、保健福祉センターが隣り合って立地。それぞれ老朽化や耐震化への対応が課題だった。今回、行政財産や土地の有効活用、利用者の利便性向上などの観点から、合築による新施設整備が実現することになった。
 東日本大震災で被災した庁舎の復旧にも合築が採用されている。東北地方整備局が宮城県石巻市に建設した石巻港湾合同庁舎(RC造5階建て延べ約2000平方メートル)は石巻市の要請を受け、最上階に市の防災備蓄倉庫を合築。これにより水や食料など避難者向けの物資を備えた津波避難ビルとなった。東北整備局は初の合築案件として効果と課題を整理し、今後、同様の事業に生かすという。
 社整審建築分科会が4日に開いた官公庁施設部会と事業評価小委員会の合同会議で17年度の事業採択を了承した「鶴岡第2地方合同庁舎」(山形県鶴岡市)と「富士川地方合同庁舎」(山梨県富士川町)の2件は、自治体の施設と合築整備する事業だ。
 東北整備局が実施する鶴岡第2地方合同庁舎は、老朽化した三つの庁舎(支部・区検察庁、税務署、公共職業安定所)を、市の中心市街地に集約する合同庁舎で、併せて市の防災資機材庫を合築する。関東整備局の富士川地方合同庁舎は5施設(区検察庁、法務支局、税務署、公共職業安定所、労働基準監督署)を集約するとともに町立図書館などを合築する。
 このほかの採択事業で、東北整備局が青森県黒石市で建設する黒石税務署は現在地で老朽化した既存庁舎を建て替える。自治体施設との合築ではないが、停電時に利用できる外灯や電源コンセント、井戸などを設置。地域防災に貢献する国の施設として整備する。
 同小委では、委員から「事業の緊急度が高い国の施設がある地域の自治体に情報を提供すれば、地域のニーズを踏まえた合築がさらに進むだろう」「合築の良い事例を集めてPRしていくことも大切では」などの意見が出た。
 国が国だけのために庁舎を建てる時代ではなくなっている。国交省は今後も地域に役立つ官庁施設を整備する一つの形として、自治体との連携プロジェクトに前向きに取り組んでいく考えだ。

国有財産で地域貢献ー国と自治体施設の合築整備広がる/備蓄庫や防災設備も

《日刊建設工業新聞》

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