【VRと中小企業:4】鋳物職人の五感を継承する最先端OJT 画像 【VRと中小企業:4】鋳物職人の五感を継承する最先端OJT

IT業務効率

【記事のポイント】
▼VRが生み出す伝承時間の短縮を、新たなクリエイティブに活用
▼伝承やOJTにおける感覚的な要素を、仮想現実で補完する


■鋳物工場の技術伝承にVRを利用する

 ゲーム用のVRヘッドセット「PlayStation VR」が16年10月に発売されるなど、いよいよVRが我々の生活シーンに浸透しようとしている。臨場感のある仮想現実はエンターテイメント業界で話題を呼んでいるが、これを製造業における熟練技能の伝承に利用しようという動きもあるようだ。

 鋳物の街として有名な埼玉県川口市。職人の高齢化が課題となっている同市において、バーチャル空間で鋳物工場を再現し、熟練技能を習得できるシステムを開発したのが埼玉大学大学院の綿貫啓一教授だ。

 VR発祥の地として知られるイリノイ大学で客員研究員を務めていた際、「エンターテイメントでの活用だけでなく、将来的には産業面でVRを活用できるのではないか」と考えていたという綿貫教授。帰国後に訪れた川口の鋳物工場で、ベテラン職人から若手職人への技能伝承で苦労していることを知り、システムの開発に取り組み始めたという。

「技能をスムーズに伝えることで、その分、発想面で時間を取れるようになります。そうすれば、新しい発想の製品を作ることができるのではと思い、鋳物の世界に入りました」

■鋳造技能獲得のためのVRシステムを構築

 綿貫教授は05年に、VRを技能習得に活用するために2つのシステムを開発する。ひとつは映像や画像、音声、文書データ、3D CAD/CAEデータに直感的なナビゲーションでアクセスできる「マルチメディア技術による熟練技能伝承システム」。そして、もうひとつが3次元立体視システム、力覚提示装置、ヘッドトラッキング装置、モーションキャプチャ装置といったVR技術をバーチャルトレーニングシステムとして実用化した「VR技術を用いた鋳造技能獲得システム」だ。

「技能と知識を上手く組み合わせて、暗黙知と形式知を伝えるために、バーチャルトレーニングするシステムを作りました」と語る綿貫教授。両者を組み合わせ、OJTを交えた技能訓練のプログラムを組むことで、現場作業の効率的な技能習得に結びつけるのが当時の狙いだったという。

《本折浩之/HANJO HANJO編集部》

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