■ニュース深掘り!■訪日客、次のゴールデンルートを探せ! 画像 ■ニュース深掘り!■訪日客、次のゴールデンルートを探せ!

インバウンド・地域活性

■地方のバス会社と鉄道会社、運送会社がいかに連携できるか

――全国津々浦々にインバウンドの恩恵を行き届かせるために、周遊型の個人の訪日客を増やす必要があると思いますが、今後の課題はなんでしょうか。

成定 やはり公共交通機関の連携ですね。右ハンドルの特殊性もあり、個人の訪日客が全国津々浦々を旅しようと思った時、頼りにするのはレンタカーよりは公共交通機関です。連携も、ただ単に国が音頭をとって主導しても、実際にオペレーションをどうするのか、チケットの管理や処理はどうするか、細かなルール作りが必要になります。

 さらに観光産業に携わる受け入れ側の意識も大切です。一つは当事者意識の問題であり、もう一つは異業種間や隣接する観光地間で垣根を超えられるかという問題です。これは、簡単ではありません。でも、それが必要であることは、すでに結果を出している周遊ルートが物語っています。

――ご自身も出張の移動で高速バスを使われることが多いそうですね。利用者の視点から見て、こうしたインバウンド向けサービスがあればいいのに、と思うことはありますか。

成定 一つは、今まで以上の手荷物託送サービスの実現です。国も「手ぶら観光の実現」を目標に掲げて支援を始めていますが、公共交通を乗り継いで個人の訪日客が周遊旅行するとき、最大のストレスは手荷物です。現在でもたとえば舞浜駅で荷物を預かったらディズニー周辺のホテルに夕方までに荷物を託送してくれるといった、局地的なサービスは始まっています。ですが、周遊型においては、チェックアウトする宿で荷物を預ければ、チェックインする次のホテルに荷物を届けてくれる、それもその日のうちに届けてくれるようなサービスは始まっていません。だからこそ、先行地域の周遊ルートをモデルコースとして決め、まずその間だけでも試験的に実施することが重要ではと考えています。

――その他にも何か必要と思われる対応があれば教えてください。

成定 二地点間移動に特化した高速バスと、お仕着せのパッケージ型のバスツアーの中間の商品があればいいと思います。外国人は周遊するので、移動はしつつも、要所要所で立ち寄りながらの観光を希望します。駅前で降ろして終わりではなく、途中で観光地に立ち寄りつつ、ホテルへも送ってくれるような、どこで降りても良い自由度がある移動的要素と観光的要素を併せ持った片道型のバスツアーです。バス業界と旅行業界の間の商品なので、縄張り意識を打破するのは簡単ではないと思います。

 ただ、インバウンドだけでなく、国内客も団体旅行から個人旅行に切り替わっていることを踏まえると、大きな潜在ニーズがあると見ています。こうした変化に対応していかなければ、国内の観光産業に未来はないとも思っています。これらを踏まえて先進地域がこれまでのベストプラクティスを共有する場が、いま必要だと感じています。

<Profile>
成定竜一(なりさだりゅういち)さん
高級都市ホテルチェーンを退社後、06年に楽天バスサービス株式会社に入社。楽天トラベル「高速バス予約」サービスの事業責任者を経て、同社取締役に就任する。11年に退職すると、高速バスマーケティング研究所を設立。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員(10年度)、「国内観光の振興・国際観光の拡大に向けた高速バス・LCC等の利用促進協議会」(15年度~)などを歴任する。

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《塩月由香/HANJO HANJO編集部》

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