建設業界、3Dプリンターで市場開拓へ虎視眈々! 画像 建設業界、3Dプリンターで市場開拓へ虎視眈々!

IT業務効率

 ◇3Dソリューションを強力推進
 3次元(3D)モデルの活用事例が増えつつある建設業界で、新たなコミュニケーションツールとして注目を集める3Dプリンター。建築物や土木構造物などの3Dデータによって同じ形状で造形されたモデルを使い、各種構造物のデザインや納まり、施工計画などをより立体的に確認することができる。製造業などを中心に活用の場を広げてきた3Dプリンターを生産・販売する民間各社の事業戦略では、建設関連分野を今後開拓する有望市場の一つに位置付けている。
 数年前にコンシューマー(一般消費者)向けを中心に盛り上がった3Dプリンターブームは沈静化し、実際のビジネスの中でプロ目線のユーザーが機種の性能・コストなどを見定めながら活用する動きが目立ってきた-。3Dプリンターを取り扱う各社の営業担当者は国内市場の現状をこう分析する。
 手ごろな価格帯でデスクトップ型の汎用機が市場に出回り、興味本位で購入する一般ユーザーが一時的に急増。現在はブームに乗った動きが落ち着く一方、実際の事業での活用を考えるプロ志向のユーザーの関心が高まっているという。
 世界市場でトップシェアを握る米ストラタシス社の正規販売代理店として1992年から3Dプリンターの販売・保守サポートを行ってきた丸紅情報システムズ。製造ソリューション事業本部モデリングソリューション部の真弓剛副部長は「どの産業も先に3DCADの普及があって3Dプリンターの市場が広がったことを考えると、3DCADが広まりつつある建設業はこれからの有望産業だ」と強調する。
 業界では大手ゼネコンを中心に昨今の好業績で投資意欲が高まっており、3D化への対応に前向きな企業が増加。設計事務所も含めて3Dプリンターの導入・拡充を検討する動きが出ており、具体的な商談も複数社と進めているという。
 ゼネコンは建築、土木、設計、技術研究所といった各部門に分かれていることから、3Dプリンターの活用ニーズがそれぞれ異なり、提案する機種も変わる。造形前には3Dデータの修正作業が必要になるため、プリンターの性能や特徴などを熟知したメーカー側の支援も欠かせない。
 同部営業二課の河本慎平課長補佐は「20年以上にわたり代理店として培った3Dプリンティングの技術・ノウハウを生かし、より深い意見やアドバイスができる」と話す。今後は土木コンサルタントなど建設関連業全般をターゲットに営業を強化する方針だ。
 キヤノングループで国内市場の販売業務を担うキャノンマーケティングジャパン(CMJ)は、12年から3Dプリンターメーカーの米3Dシステムズ社の正規代理店となり、3Dプリンターを含めた3Dソリューション事業を成長ビジネスの柱の一つに位置付ける。
 プリンターのほか、CADソフトや造形サービスなどグループ内の3D関連商材の連携強化を図り、3D関連ビジネスの17年の売り上げ目標を150億円と設定している。3Dソリューション企画部の山口雅春副部長は、「13、14年の市場の過熱感も収束し、ものづくりのツールとして必要、不必要なものが明確になりつつある。市場の急拡大を予想する調査会社もあるが、当面は緩やかに少しずつ需要が増えるだろう」と見通す。
 一方で、3Dプリンター業界で大きな技術革新が起こることへの期待感も隠さない。「造形スピードが100倍速く、精度も何十倍も向上するなど、この数年の間に飛び抜けた技術が登場し、需要が刺激される可能性は十分あり得る」と指摘。ニーズや業界動向など市場分析を進めながら、将来的には「キヤノン」ブランドでの製品化も見据える。
 設計製図機器やCAD、計測機器などを基幹事業とするムトーエンジニアリングは、新事業の3Dプリンター関連の営業活動を強化している。自社グループで開発した製品(熱溶解積層方式、光造形方式)のほか、他メーカーの製品も取り扱い、多様なニーズに対応する。
 建設業への営業展開に当たっては、従来の基幹事業を通じて築いたネットワークが強みとなる。庄子敏幸事業統括室長は「当社のドラフター(設計製図機器)などを利用する土木、建築、測量の各分野の方々との付き合いは長く、つながりも深い。平面(XY座標)に高さ(Z座標)を加えた3Dモデルの世界は得意分野であり、新事業でも企業価値をさらに高めていきたい」と話す。
 昨秋から自社ブランドの3Dプリンター(粉末焼結積層方式)を販売しているリコー。造形サービスのメニューも拡充しながら、プリンター関連メーカーとして長年培った設計製造ソリューションや保守サービスを核に、市場でのブランド力を高めるための戦略を練る。
 新規事業推進センターの大谷正樹AM事業室長は「ものづくり企業として20年以上にわたって社内で3Dプリンターを活用してきた実績に設計・製造ノウハウを加え、顧客のものづくりのイノベーションを後押しする」と語る。
 自社単独で製品のラインアップを充実させるのは難しいことから、他メーカーの製品も臨機応変に取り扱う。3Dプリンター単体の市場規模はまだ小さく、3DCADや設計の大判プリンターなどを含めた総合力で市場を開拓する方針だ。
 大谷室長は「建設産業での3Dプリンターの普及の可能性は思った以上に高いと感じている。16年度中に事業戦略を整理して建築・土木分野での提案メニューをそろえ、17年度から本格的に営業活動を展開する」と意気込む。

16年暑中号/革新ツール・3Dプリンター・1/民間各社、市場開拓へ虎視眈々

《日刊建設工業新聞》

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