清水建設が3Dプリンターを積極活用、ものづくりの付加価値を追求! 画像 清水建設が3Dプリンターを積極活用、ものづくりの付加価値を追求!

IT業務効率

 清水建設は3次元(3D)プリンターによる業務革新を積極展開する。東京・京橋の本社に置く石こう系フルカラー対応の3Dプリンターを昨秋増設し、2台による製作体制を整備。月当たりの平均造形数は従来の20個強から1・5倍増の30個強となり、メンテナンスの時間も取りやすくなって故障の発生率が低下。作業効率が向上した。本支社や現場からの造形ニーズに素早く対応し、営業や設計・施工の業務品質の向上を後押しする。
 同社は12年の新本社ビルへの移転を機に、「設計者の早いもの決めに寄与するための最新テクノロジー」の一つとして3Dプリンターを導入。現在は自社のブランド力向上に貢献するツールとして、本社だけでなく、支社や現場など、活用領域を全社に広げている。
 本社では3Dデータの作成・補正から3Dモデルの造形、サポート材の除去などの後処理まで全工程を内製化。共有の作業スペースである模型室には3Dプリンターの造形物を展示するギャラリーを設け、社員の研修やアイデアを喚起する場としても利用している。
 3Dプリンター部門の責任者である設計本部設計技術部生産改革グループの小崎賢一設計長は「メーカー系の造形サービスでは緻密性や色彩など品質の面でわれわれの要求水準を満たし切れない。基本的にはすべての作業を社内で行い、造形スケジュールが立て込んだ場合に外部サービスなどを活用している」と説明する。
 3Dプリンターの導入メリットとして、▽川上段階での3Dデータ活用▽複雑な形状・デザインや構造を模型で立体視▽短工期とコストダウン-などを挙げる。
 造形物の大半は建築が占め、コンペや施主へのプレゼンテーション、デザインや構造・設備などの確認、施工計画の検討などで活用。竣工物件の模型を関係者への贈答用に製作した事例もある。
 3Dプリンターの可能性に挑戦しようと、13年に竣工した「中央区立京橋こども園」の40分の1スケールの建築模型を、武藤工業の協力を得て製作した。フルカラー石こう系3Dプリンターで製作した建築単体模型としては世界最大級。小崎設計長は「難しいことにチャレンジすることで、機械だけでなく、われわれのスキルアップも図れる」と話す。
 最近は土木構造物にも積極的に3Dプリンターを活用し、「東西線飯田橋・九段下間折返し設備設置飯田橋工区改良土木工事」や「千五沢ダム改築」などの3Dモデルを造形している。
 研究開発分野での活用も目立ってきた。緩衝材で覆われた原子炉の放射性廃棄物を移動させるために土木技術本部バックエンド技術部が開発した専用重機(緩衝材除去装置)を3Dプリンターで出力。実機の製作に当たり、図面や画像だけでは事業者側の理解が不十分だったことから、重機に付属するホースや配管など細部まで忠実に再現した。
 3Dプリンターの造形モデルのうち、3割は設計本部以外の案件で、うち土木構造物関係は2割弱を占める。
 小崎設計長は「3Dプリンターは万能ではないが、今後のものづくりの可能性を広げる重要なツールの一つだ」と強調する。現場の生産性を高める取り組みの一環で、技術研究所では3Dプリンターによる実用品の造形を見据えた研究に着手。コンクリート系の部材関係の造形技術など、実用化を検討していく。

清水建設/3Dプリンターを積極活用/造形円滑化、ものづくりの付加価値追求

《日刊建設工業新聞》

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