ジェネリック農薬の可否、論争収まらず!? 画像 ジェネリック農薬の可否、論争収まらず!?

制度・ビジネスチャンス

 安価なジェネリック(特許切れ)農薬の普及へ、国の農薬登録制度の在り方で議論が起きている。JA全農など販売業者は、ジェネリックの元となる剤(先行剤)の試験データの保護が厳しく、ジェネリックの登録時に改めてデータをそろえる費用がかさむと主張。一方、先行剤を持つ農薬メーカー側は、試験データは多額の開発費をかけて得た企業秘密で、安易なデータ開示は新薬開発の機運をそぐと訴える。生産資材価格の低減に向けた政府・与党の議論でも課題になりそうだ。



 ジェネリック農薬は、先行剤の特許切れとなった有効成分を使い、別のメーカーが製造するもの。有効成分の開発費用が省ける分、販売価格を抑えられる。世界の農薬市場に占めるジェネリックメーカーの売り上げは約30%だが、日本ではジェネリック農薬の出荷割合が約5%にとどまる。

 国内のジェネリック農薬4剤のうち2剤を発売した全農は「ジェネリックを増やしたいが、国の登録制度が壁になっている」と言う。卸売業でつくる全国農薬協同組合も「登録制度を見直さない限り、ジェネリックの強みである価格面での利点を見いだし難い」と続く。

 国の登録審査で、メーカーは毒性などの試験データを提出する必要がある。ジェネリック農薬の場合、先行剤の有効成分の割合や、どのような補助成分がどの程度含まれているかなどは、農薬の製法に関わる企業秘密だとして、国が保護している。

 全農によると、単一作物を対象とした農薬の場合、試験データをそろえるなど登録に12億~13億円程度かかる。農水省は、ジェネリック農薬の登録時に一部の試験が免除される規定を設けるが人畜への毒性などが先行剤と同等と認められることが条件。だが、全農は「先行剤の中身が分からない中、同等の物を作るのは難しい」と指摘する。ジェネリック農薬を登録したときもこの規定を使わなかった。

 欧州連合(EU)や韓国では、農薬は登録から10年たてば、試験データの保護範囲は大幅に縮小され、ジェネリック農薬メーカーは入手できるデータの幅が広がる。そのため、登録費用も日本に比べ大幅に低いとみられる。国内の農薬メーカー側からは「登録費用だけに焦点を当てるのはおかしい」との声が上がる。

 新剤の商品化には、有効成分の開発費をはじめ1剤当たり100億~150億円ほど費用が掛かる。メーカーでつくる農薬工業会は「多額の費用と労力を掛けて得た試験データを安易に後発メーカーに開示すれば、新剤の開発意欲がそがれる。業界全体の開発力に影響する問題だ」と訴える。

 農水省は「ジェネリック農薬の登録時も、安全性が担保できる試験データがそろっているかどうかが第一だ。その上で、国外の登録制度も見ながら今後の在り方を検討したい」(消費・安全局)としている。(仁木隼人)

ジェネリック農薬 登録制度巡り応酬 販売業者:普及の壁に メーカー:開発力そぐ

《日本農業新聞》

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