~ポストものづくり時代:4~世界唯一のモヘア糸、その作り方・売り方 画像 ~ポストものづくり時代:4~世界唯一のモヘア糸、その作り方・売り方

海外進出

【記事のポイント】
▼「高くても売れるもの」「唯一無二の商品」を極めることが下請け体質を変える
▼すでにあるものに手を加えることで、自社オリジナルに昇華させる
▼大手企業と戦うのではなく共存する。そのなかで自社独自の市場を開拓していく


■低価格競争から世界唯一のものづくりへ

 大量生産・大量消費による低価格競争の市場において、海外からの安価な製品の台頭により競争力を大きく失い、倒産に追い込まれるケースは決して珍しくない。ここから脱却し、次代のものづくりに取り組んでいるのが佐藤繊維だ。それは世界唯一のものづくりを追求することで切り開いた、”ポストものづくり”への道である。

 山形県寒河江市で羊毛紡績会社として32年に創業した同社が、世界中から注目を集めたのは09年のこと。バラク・オバマ氏の米国大統領就任式で、ミシェル夫人が着用したカーディガンに、同社の開発した糸が使われていたからだ。

 その糸は南アフリカのアンゴラヤギの毛を使ったモヘア糸で、「風雅(FUUGA)」と名付けられたオリジナル製品。モヘア糸は当時、1グラムの原料から約15メートルに延ばすのが技術的な限界で、固い仕上がりで肌触りが悪いためあまり製品化されていなった。そのためウールを混ぜるのが一般的で、ウール混のモヘア糸は1グラムの原料から伸ばせるのは約28メートル。しかし、ミッシェル夫人が着用したカーディガンに使用された糸は、1グラムの原料から44メートルにまで伸ばされていた。

 風雅にはモヘア糸100%の製品もラインアップし、1グラムの原料から52メートルの極細タイプも生み出している。ごわつきのあるモヘア糸100%だが、ここまで極細になると、極細だからこそふわりと柔らかな手触りを可能とし、国内外の業界から一躍注目の的となった。

 「風雅」の開発のきっかけは、4代目の現社長、佐藤正樹氏が同社に入社した5年後の97年にさかのぼる。イタリアにある取引先の繊維工場を見学で訪れた際、そこで働く工場長や職人の1人ひとりが“自分が世界のファッションの元を作っているんだ”という自負をもって働いている姿を目の当たりにした。佐藤社長はこの時のことを次のように振り返る。

「当時は下請けとして注文されたものを生産していたのですが、自分が作りたい糸を作ってファッションを動かしていくんだ、という意識に大きく切り替わりましたね」

■注文されたモノ作りではなく、他にないモノを作る

 誰でも作れる糸で安さを追求するのではなく、他には作れない糸を作れば高くても売れるはずだと考えた佐藤社長は、帰国するとさっそく商品開発に着手。しかし、コストを抑えて大量生産に対応する最新の機械は、オートメーション化が進んでいた。ある程度の決まった原料を使い、高速で均一な製品を製造することには長けているものの、新商品の開発には適さない。そこで佐藤社長が白羽の矢を立てたのが、大手企業で使い古された数十年前の機械だ。

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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