~Sakeの海外戦略:7~ワインのインフラを通じて世界へ 画像 ~Sakeの海外戦略:7~ワインのインフラを通じて世界へ

海外進出

【記事のポイント】
▼ワインビジネスのネットワークに日本酒を乗せることが肝要
▼あなどれないIWC授賞式会場の無料配布冊子
▼アプリやワイン人材の育成で言葉の壁を超える


■SAKEは「WINE」に並ぶ可能性を秘めている

 日本酒の海外進出の現状を例えるならば、“SAKE”はいま、日本国内における紹興酒やマッコリのようなものではないだろうか。

 その酒の名前を近年、多くの日本人が知っている。中華料理店や韓国料理店に行けば、気分を高めるためについ頼みたくなるが、店を離れ、日常の延長線上の酒屋やスーパーで見かけたときは、よっぽどのファンでない限り、日本語での解説や信頼できる誰かの強力な推薦がなければ、買おうとまでは思わない。

 一方、ワインは違う。肉料理には赤、魚料理には白、といったワインの基本が日本人に知れ渡って久しい。産地も本場フランスといえば、ブルゴーニュやシャンパーニュといった情報が巷にあふれ、備長炭の純和風の焼き鳥屋でワインを見かけることは珍しくない。店内を見渡せば、シャルドネだ、ソービニヨンだと解説する人を見つけることも容易だ。

 では、日本酒は今後、世界において両者、どちらのポジションに定着するのか。そのカギを握るのは、国内の日本酒の生産者の9割を占めるといわれる中小の酒蔵だと、元JALの客室乗務員でコーポ・サチ代表の平出淑恵さんは語る。

「日本酒の未来は、全国各地の中小の蔵元がそれぞれ国際化できるかにかかっています」

 平出さんは、かつて”空飛ぶソムリエ”と呼ばれた、ソムリエ資格を持つCAの一人だ。01年に京都の蔵で搾りたての大吟醸を口にした時に、啓示のように日本酒の可能性に気がついたという。同じ食中酒であるワインが実現している経済効果を、日本酒を”SAKE”という国際的な酒にすることで実現できると本気で信じ、行動し、実績を挙げてきた。口癖は「ワインの分かる人には、日本酒の価値もわかる」

■ワインスペシャリストがSAKEを飲み、IWCを動かす

 平出さんが断言するのには理由がある。自身だけでなく、数々のワインのスペシャリストがSAKEに魅了される瞬間を見てきたからだ。中でも、世界最高峰のワイン資格保持者「マスター・オブ・ワイン」である、英国人のサム・ハロップ氏が日本酒にすぐさま反応したことで、確信に変わった。

 まだJALの社員だった平出氏と日本国内の蔵元有志は03年、ワインの教育機関WSET (Wine&Spirit Education Trust)のロンドン本校で日本酒講座を開く。そこにハロップ氏が参加したことが転機となった。

 日本酒の可能性を感じたハロップ氏は、翌年には平出さんらのアテンドで訪日し、日本酒の酒蔵を見学。その後、ハロップ氏が最年少で世界的なワインコンテストIWC(International wine challenge)の審査最高責任者に就任したこともあり、ワイン以外では初となるSAKE部門が、07年にIWCで創設された。

《塩月由香/HANJO HANJO編集部》

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