【HJ HJ EYE:2】進む農業の法人化、必要とされる人材とは? 画像 【HJ HJ EYE:2】進む農業の法人化、必要とされる人材とは?

人材

 HANJO HANJOが中小企業のビジネスに関わるキーパーソンに中小企業の現在を問う「HJ HJ EYE」。第2回は農業に特化したマッチングサービスのパイオニア「あぐりーん」代表で、農業求人サイト「農家のおしごとナビ」を展開する吉村康治氏に話を伺った。

■農業は横のつながりで認知が広がる

――吉村さんが株式会社あぐりーんを創設してから約7年が経ちました。この農業のマッチングという事業は、どのような経緯から生まれたのですか。

吉村 前職で人材の派遣業務に携わり、全国各地を訪れていました。その際に農家や畜産農家からも人材に関する相談を受けることがありました。しかし、担当していた事業における求職者の中には、一次産業を希望する方がいなかったため、お断りするしかありませんでした。このような現状に対して何かできないかと、それで立ち上げたのがこの会社です。

――顧客のニーズに応える形で始められたということですね。事業の立ち上げは、スムーズに進んだのでしょうか。

吉村 当時はリーマンショックの影響で失業者が多く、世の中は雇い手市場でした。ハローワークに応募を出せば、無料で人を雇うことができます。農業ブームで業界への人気も高かったため、正直あまり受けは良くありませんでした。そもそも、当時はお金をかけて人材を採用することに対して、農家が積極的ではなかったのです。外部から人を採用するとしても、近所の方を集めれば間に合うというのが一般的な意見でした。

――わずか7年前でも、一次産業の労働力は基本的に身内でまかなうというのが常識だったわけですね。それでは、あぐりーんに求人を出してもらうために、どのような営業活動をとったのですか。

吉村 広く世に知られているような農家もありましたが、そこから営業先を増やそうとしても、リストのようなものはありません。地方を訪ねても、何か目印になるような看板もないわけです。

――それは、“飛び込み営業”ができないということですよね。

吉村 看板がない以上、農家を一軒一軒訪ねて歩くしかありませんでした。ただ、農家というのは会社であると同時に、一つの家でもあります。「こんにちは」と声をかけても、誰もいないこともありますし、その家の方がどの畑にいるのかも分かりません。前職での方法論が全く通じないので大変でした。

――求人に何を求めるか? その要望を集めるだけでも、大変な苦労があったわけですね。そこから活動が認知されて、ビジネスの手ごたえを感じ始めたのは、いつ頃ですか。

吉村 起業から1年から1年半はかかったと思います。ただ、農家は横のつながりが強いので、近く の農家を紹介していただいたりと、人から人へと繋げていくことで、次第にお客様が増えていきました。

――どの地域にもコミュニティや業種を束ねるようなキーパーソンがいます。そうした人間を確保することも大事なことです。

吉村 まさにその通りですね。彼らから紹介していただいた人脈も大きな力となっています。

■農業法人が人材に求めるのはマネージメント能力

――これまでハローワークで人材募集していた農家が、「あぐりーん」を利用するようになる、そのきっかけや理由を教えてください。

吉村 従来のやり方でも、確かに一時的な人手を集めることはできるでしょう。ですが、農業を会社組織として継続させるには、長くとどまって会社を共に成長させていく人材が必要です。家族経営で現状維持を続けるのもいいのですが、私はそれが農業が衰退した理由だと考えています。今の農家に必要なのは、事業の軸になって全体を見渡し、状況判断ができてパートなどを指揮できる人物です。他業種でマネージャー職として活躍していた人や、新卒の社員を長く育てていけるような人材が現場で求められているのです。

――農家ではなく会社として考えなければ、ビジネスの先が見えないわけですね。そのような問題意識は農家の側にもあったのですか。

吉村 優秀な人材を外部から集め、定着させるには、今までのやり方では駄目だという認識はあったと思います。特に若い経営者の方は、一般企業と同じような雇用の考え方が必要だという意識がありますね。

――吉村さんが農家を回り、人材の重要性を説いたこともあったのでしょうか。

吉村 人の出入りが多いままでは大変なので、本当に農業をやりたい人を採用して育てていきませんかという提案はずっと行ってきました。若い経営者は考え方が柔軟で、日ごろからアンテナを張っていますから、求人のお声がけをいただくことも多いです。

《HANJO HANJO編集部》

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