中国、「緑色食品」で残留農薬問題解決へ 画像 中国、「緑色食品」で残留農薬問題解決へ

海外進出

 中国政府が、農産物の品質向上に取り組んでいる。食品中に基準を超えた農薬の残留が確認されるといった不祥事が後を絶たないためで、安全で安心できる農産物の供給を実現するのが狙い。中国各地には、無農薬や減農薬を基本とする「緑色食品」生産基地が相次いでいる。中国で食の安全・安心を実現できるのか、実態を探った。
・食料全体の1割価格面で課題も

 中国の消費者が野菜を買ってきて、家庭でまずやることは「数時間水に漬ける」ことだ。中には塩水の中に数十分、野菜を漬けておく家庭もある。少しでも残留農薬のリスクを減らそうという庶民の知恵だ。市中では「残留農薬を除去する」ことを売り物にした野菜専用の洗剤も多く売られている。

 背景にあるのが、基準を超える農薬の残留が相次いでいる問題だ。国家食品薬品監督管理総局(CFDA)が5月10日に発表した1~4月の食品安全検査では、一部食品で基準を超える農薬の残留が見つかり、店舗の棚から撤去を余儀なくされた。食品約20万件を検査したところ、約390件(0.2%)の食品で基準を超えた農薬残留が見つかり、流通できなくなった。

 こうした残留農薬問題は、今でも中国国民にとって最大の関心事だ。中国最大のインターネット検索サイト「百度」で「農薬残留」と検索すると1430万件もの関連情報が集まる。その一方で、日本の大手検索サイトは53万件にとどまり、残留農薬に対する中国側の関心の高さがうかがえる。

 政府は、有毒物質のメラミンが牛乳に混入していた問題を受けて2009年に食品安全法を見直し、その一環として残留農薬の監視を強化した。だが、農家の多くは目先の利益や効率を優先するあまり、過度に農薬を使う従来の農法から脱却できず、根本的な問題の解決につながらなかった。

 このため政府は、10年から全国各地に無農薬や減農薬栽培に取り組む「緑色食品」のモデルとなる産地づくりに着手。15年までに、全国31の直轄市・省(日本の都道府県に当たる)に283のモデル地区を設けて、緑色食品の生産を振興する。

 15年の生産量は前年比16%増の5613万トンと過去最高を記録、食料全体の約1割に及んだ。このうち、化学肥料や農薬を使わない有機食品の生産量は、同14%増の138万トンに上った。

 中国緑色食品発展センターの李顕軍博士は「有機農産物は確かに安全・安心ではあるが価格が高いため、中国の消費者の認知度は低い。国策として有機食品を振興するとともに、人と環境に優しい生物農薬などの開発を進める必要がある」と指摘する。

<ことば> 緑色食品

 政府機関・中国緑色食品発展センターが認証する。日本の有機食品と同様に化学肥料や農薬を一切使わない「AA級」と、決められた化学肥料や農薬を一定量使える「A級」がある。

残留農薬問題解決へ「緑色食品」 5613万トン 過去最高 中国政府

《日本農業新聞「e農net」》

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