建設業界、10年越しの人材不足問題、官民一体の構想始まる! 画像 建設業界、10年越しの人材不足問題、官民一体の構想始まる!

人材

 ◇不安を大きな期待に
 技能者の資格や就労履歴などの情報を蓄積する「建設キャリアアップシステム」の構築に向けた官民共同の取り組みが始動した。東日本大震災後に深刻化した技能者不足と、少子化による生産労働人口の減少という業界が直面する現実への危機感が、十数年越しの構想の具体化へ背中を押した。
 (編集部・「建設キャリアアップシステム」取材班)
 「新しいフェーズに入った」-。5月16日、システムの機能要件など専門的な検討業務を行う開発準備室が建設業振興基金内に設置され、開所式で国土交通省の谷脇暁土地・建設産業局長は感慨深げにそう切り出した。
 国交省と主要建設業団体、学識経験者で組織する官民コンソーシアムが始動したのは昨年8月。その下部組織の作業グループが実務レベルの具体的な検討を行い、システムの基本的な考え方が今年4月、「基本計画書」として取りまとめられた。コンソーシアム発足からわずか9カ月。素早い動きには、十数年来の議論の蓄積が生きた。景況改善で企業に投資余力が生まれたことも大きい。
 構築するシステムは、技能者の処遇改善などの目的に必要な情報の蓄積に特化しているのが特徴だ。保有資格や社会保険加入状況などの「本人情報」、システムに参加する「事業者情報」(元請・下請が事前に登録)、入退場管理などによる「現場情報」(元請が現場開設ごとに登録)の三つの情報を組み合わせて、技能者の就業履歴を電子的に蓄積する。
 技能と経験を「見える化」するため、登録した技能者に発行するカードを技能や経験に応じて色分けする。登録基幹技能者などを上位のカラーに位置付ける予定だ。技能者には継続的な自己研さんの動機付けだけでなく、カードをスキルの証明にして適正な賃金の受け取りに役立ててもらう。
 人材を育て、適正に処遇する専門工事業者には、優秀な技能者が集まり、受注機会に恵まれる。さらに能力に応じた人材配置によって生産性の向上にもつながる。
 国交省は「人と企業が共に成長する好循環を生み出すシステム」(木村実建設市場整備課長)を目指し、担当者が開発準備室に連日通って打ち合わせを重ねるなど積極的に関与している。
 「このシステムは建設産業全体を支える重要なインフラ」(谷脇局長)。これを処遇改善や品質確保にどう役立てていくかが問われる。業界内には、システムに期待と不安が入り交じる。システム構築の過程を通じて不安を払拭し、「大方の人が期待できる仕組みを作らなければいけない」。振興基金の内田俊一理事長はこう気を引き締める。
 「就労履歴管理システム」「建設技能キャリアシステム」「建設技能労働者安心サポート」…。建設技能者の資格や就労実績を統一ルールで蓄積するシステムとして最終的に「建設キャリアアップシステム」の名称が決まるまで、数々の候補が提案されてきた。磨きを掛けた技能、積み重ねた経験を情報としてしっかりと蓄積し、それに応じた適正な評価と処遇を得る。それが仕事の意欲を高め、向上心へとつながる-。システムの名称には、そんな思いが込められている。

建設キャリアアップ-官民連携のシステム開発・上/産業支えるインフラ築く

《日刊建設工業新聞》

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