レッドブル・エアレースで“CHIBA”の都市ブランディングは成功したか? 画像 レッドブル・エアレースで“CHIBA”の都市ブランディングは成功したか?

インバウンド・地域活性

 日本人パイロット室屋義秀選手の優勝で注目を集めたレッドブル・エアレース。2日間で国内外から約9万人の観客を動員し、大盛況のうちに幕を閉じた。レース会場となった千葉市は、エアレースの成功が国際的な都市ブランド構築につながると期待する。さらにエアレース開催を通して「広告費を一切出さずに」“CHIBA”の名を世界に発信するという、新しいMICE戦略の形も見えてくる。

 「空のF1」とも言われるレッドブル・エアレースは最高時速370キロメートルという究極の3次元モータースポーツだ。今年はアブダビ大会で幕を開け、ブダペストやラスベガスなど世界7カ国8都市で開催される。2003年の初開催以降、規模を拡大し世界中でファンを増やしている。

 レッドブル・エアレース千葉大会は昨年に続き2回目だ。アジア初開催となった昨年は約12万人の観客を動員。その経済効果は約20億円とされる。だが千葉市がエアレースに期待するのは集客力だけではない。同レースの模様はテレビやインターネットを通じて、世界中に配信される。千葉市はエアレース開催による広告効果を40億円程度と見込む。

国際MICE戦略に地域の特色生かす
 千葉市は2015年に「グローバルMICE強化都市」に選定された。エアレース会場となった幕張新都心エリアは、大型コンベンション施設「幕張メッセ」を擁する千葉県最大のMICE(国際会議や企業の研修、展示会などの集合体)拠点だ。

 この幕張新都心エリアを中心に国際MICE戦略を推進する千葉市にとって「世界に千葉、幕張の名を発信できたことの価値は計り知れない」(千葉市担当者)。海外からのMICE誘致には、国際的な知名度が欠かせないからだ。

 ここで注目されるのが、千葉市がこのエアレース招致において「1円も出していない」(同)ことだ。エアレースのような大規模イベント開催ではホストシティーが招致金を出すケースが一般的だ。招致金は数億円規模とも言われる。だがエアレース千葉大会は、企業の協賛金や入場券収入などだけで運営されている。熊谷俊人千葉市長も「ホストシティーがコスト負担をしていないのは珍しいと思う」と話す。

 コスト負担ゼロながら千葉市がエアレース開催を勝ち取れたのは、地域の持つ魅力をうまく活用し、PRできた結果といえる。

 レース会場となった幕張海浜公園は「幕張の浜」の一画にある。幕張の浜、検見川の浜、いなげの浜と続く人工海浜は総延長4・3キロメートルと日本一の全長を誇る。モナコのモンテカルロ・ラルポット海岸に次ぐ世界で2番目の人工海浜だ。

 また、東京都心から電車で30分と近く、富士山や東京スカイツリーを背景に東京湾を一望できる絶好のロケーションにある。さらに千葉市は日本の民間航空発祥の地でもある。1912年に日本初の民間飛行場が稲毛海岸に開設され、飛行機の平和的利用の歴史が始まった。

 千葉市はエアレースの実行委員会に、こうした千葉の魅力を繰り返し伝えてきた。その結果、「アジア初のエアレース開催にふさわしい地」として認められた。レッドブル・エアレースのエリック・ウルフCEOも「歴史ある地での開催を嬉しく思う」として、千葉を高く評価している。

 地域の持つ資源や魅力を最大限に活用することで注目度の高いイベントを誘致する。そして都市ブランドを築き上げ、次のイベント誘致につなげる。レッドブル・エアレース千葉大会は、多額の招致金や広告費をかけずとも、都市の知名度やイメージを上げられることを示している。

 来年も千葉開催が濃厚なレッドブル・エアレース。千葉市の国際MICE戦略にとってさらなる追い風となることは間違いない。
(文=千葉・曽谷絵里子)

レッドブル・エアレースで“CHIBA”の都市ブランディングは成功したか

《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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