コンパクトシティーを五輪から! 画像 コンパクトシティーを五輪から!

インバウンド・地域活性

 日本都市計画学会の新会長に就いた横張真東大大学院工学系研究科教授は、国の都市政策が従来の拡散型から集約型の「コンパクトシティー」へと大きく転換する中で、都市計画法の見直しを急ぐよう訴える。「2020年東京五輪を都市のボトムアップの機会とするべきだ」と話す横張新会長に、今後の都市計画のあり方や学会の活動方針について聞いた。
 --学会活動をどう活性化させる。
 「若手を中心としたタスクフォースで5年、10年先の学会活動のあり方を検討している。ここで出てきた内容を具体的なアクションにつなげる。まずは若手が活躍できる場を用意する。閉じるのではなく、他の関連学協会と連携を強化する。CPD(継続教育)対応などで互いの学協会が企画する研修や勉強会に参加した場合も柔軟に単位を付与し合える仕組みづくりなどで連携したい」
 --都市計画の担う役割をどう考える。
 「支部には、都市だけで議論を完結できるのは東京圏しかないという人が多い。地方は農村、漁村、山村との関連性の中で都市づくりを語らなければできることは限られる。従来の都市計画の枠を広げ、周りの農山漁村、観光という視点を取り込みながら、より広い視野の中で都市を総体的に捉えていく発想が求められる。そうした考えに資する活動を展開する」
 「昔は農地が都市で発生する汚穢(おわい)を肥料として受け止め、農地で生産された食物が都市の食卓に回る合理的な土地利用システムだった。防災上の必要性や都市のヒートアイランド現象の緩和効果を考えると両者が混在していることは悪くない。都市農業振興基本法で都市的土地利用のアイテムの一つに農地が入った。東京の郊外部で今後生まれる空き地をどうするか。農山漁村との協調の中で都市を考えなければいけない」
 「産官学の枠を超えて皆が街を良くしようとするときにエリアマネジメントとして手伝うことが都市計画に携わる専門家の役割だ。エリアの大きさはさまざまでも、通底するのは各エリアにとって何がベストであるかを追求することだ。普遍的な解が出てくれば、それは隣のエリアにも展開できる」
 --都市計画法の改正の必要性は。
 「都市計画法は抜本改正が必要だと思う。今までの都市計画は基本的に拡大志向。今は『コンパクトシティー』で、都市を小さくするという正反対の現象が起きようとしている。都市計画法を都市政策の基本法と考えれば、その基本理念を書き換える事態に直面している。基本法の部分が改正されなければ、都市再生特別措置法や都市農業振興基本法などの個別法も生きてこない」
 --20年の東京五輪が都市政策に果たす役割は。
 「前回(1964年)の東京五輪は首都高速道路など今の東京の基本的な構造を形作る役割があった。今後の五輪はそれから50~60年が経過したストラクチャーを更新する機会と捉えることもできる。ただ、経済大国となり、超高齢化と人口減少を迎える国が、この先にどういう社会をつくるのかとの問いに対する答えは出さなければいけない。単にインフラの整備や更新だけで終えれば20年の意味は半減してしまうだろう。日本流のボトムアップのありようを、これを契機にどうつくるのかも問われる」。
 (よこはり・まこと)86年東大大学院修了。農水省農業環境技術研究所研究員、筑波大大学院システム情報工学研究科教授、東大大学院新領域創成科学研究科教授を経て13年から現職。専門は緑地環境計画学。東京都出身、57歳。

時流自流/日本都市計画学会会長・横張真氏/五輪を新都市づくりの契機に

《日刊建設工業新聞》

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