獣医師養成へ協定。鹿児島大、実習の機会確保へ

制度・ビジネスチャンス

 家畜を診療する獣医師の不足が大きな課題になる中で、鹿児島大学は26日、獣医師養成に向けてJA鹿児島県経済連など七つの事業所と「産業動物総合臨床実習」実施に関わる産学間(企業・大学)協定に調印した。全国で初めて、牛・豚・鶏をそろえた臨床実習を、民間事業所の協力を得て大学が組織的に取り組む。教育と農業の現場が連携し、飼養管理を学ぶ他、臨床症状の触診など現場に即した実習の機会を確保し、人材育成に力を入れる。
 同大学では、産業動物の臨床実習はこれまで牛が中心だった。養豚、養鶏の現場で実習を積まずに卒業することが多く、豚、鶏の獣医師養成が十分ではなかった。口蹄(こうてい)疫の他、豚流行性下痢(PED)、鳥インフルエンザなどの家畜伝染病がアジアで多発しており、防疫を強めていく上でも臨床実習の充実が求められていた。

 同大学では昨年、養豚、養鶏の現場で臨床実習を試行的に実施。成果があったため、2016年度から同経済連や鹿児島くみあいチキンフーズ(株)など県内7事業所と協定を結び、臨床実習を本格的に取り入れる。実習する学生は約30人(5年生)。16年度から全国で実施される獣医学共通試験に合格した学生を対象とする。

 実習農場にはいずれも専属の優れた管理獣医師がおり、給餌、給水など飼養管理体重測定、採血など健康管理臨床症状の触診、死亡個体の解剖――などを実体験から学ぶ。実習時期は、農場の防疫管理の観点から7~10月。牛は1週間程度、豚・鶏は複数日を予定する。

 同大学共同獣医学部の宮本篤学部長は「全国の大学の中でも恵まれた環境で産業動物の実習ができる。ここで学んだ学生が全国一の畜産県を支える獣医師として、地域で貢献してほしい」と期待を述べた。

 獣医師免許の保有者は、農水省調べ(14年)で全国で3万9100人おり、うち牛・豚など産業動物の診療分野に従事するのは11%の4300人にまで減っている。さらに獣医大学卒業者の就職先は、ペットなどの小動物診療分野が40%を占める一方で、産業動物診療分野は8%にまで落ち込み、てこ入れが求められている。

獣医師養成へ協定 実習の機会確保 鹿児島大、経済連など

《日本農業新聞》

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