【おおさか地域創造ファンド:4】町工場が作るピクルスの味は? 画像 【おおさか地域創造ファンド:4】町工場が作るピクルスの味は?

制度・ビジネスチャンス

【記事のポイント】
▼識者の試作テストの繰り返しで、ターゲットの”見える化”
▼人では身内、製造は既存の敷地、本業に負荷の掛けない出発
▼規格外の野菜を使うことで、地元農家にも貢献


■帰省帰りのお土産で喜ばれた水なすに商品価値

 ワイヤロープの町工場が、第二創業を目指した新規事業として経験も知識もないピクルス作りに挑戦する。そんな異業種からの新規参入に成功したのが、大阪府泉佐野市にある日本スチールワイヤロープ(現社名NSW)。成功のカギを握っていたのは、「おおさか地域創造ファンド」の地域支援事業で得られた助成金に加え、地域コーディネーターによる手厚い経営コンサルティングサポートだった。

 エレベーターやロープウェイ、橋梁などに使用されるワイヤロープは、かつて泉佐野市をはじめとした泉州地域の地場産業として栄えた。しかし、海外から安価な製品が輸入されるようになると、事業は衰退。エレベーター補助用ワイヤロープを製造していた同社は、その憂き目にあった1社だった。

「弊社の場合、メインの取引先が事業をアジアでの製造へとシフトした影響で、売上が半分以下に落ち込んでしまいました。会社をたたんでしまおうか、それとも斜陽産業化するワイヤロープ事業から脱却して新規事業にチャレンジするか、大きな岐路に立たされたのです」

 このように振り返るのは、創業60年の同社で4代目社長を務める西出喜代彦氏。地元名産の「泉州の水なす」を使ったピクルスの発案者だ。

「前職では東京都内のネット系企業に勤めていたのですが、帰省帰りのお土産として地元泉州の水なすを使った浅漬けやぬか漬けがとても喜ばれたことがきっかけでした。先代の父が新規事業として、工場の敷地を活用した植物工場ビジネスを検討していたこともあり、泉州の水なすを使ったピクルスが作れないかと考えたのです」

■試作品から販路開拓までコーディネーターがサポート

 食品製造に関する技術も人も知識もないなか、同ファンドの地域支援事業のことを知った12年にさっそく応募に向けて挑戦。ファンドの窓口を訪ね、知り合った地域コーディネーターに相談しながら試作品作り取りかかった。

「泉州の水なすを使ったピクルスはほかに見当たりませんので、どれだけ失敗できるかという心構えでしたね。採択を受ける前は多い時で週に1回、採択後も月1回のペースで地域コーディネーターを訪ねて試作品を試食してもらいました。ターゲットを30~50代の女性に絞り、ワインとの相性が良くなるように。風呂上がりにちょっと小腹が空いたときにつまみたくなるようにと、使用イメージを設定するまで、手取り足取りアドバイスをいただきました」

 12年の秋頃、ようやく商品として期待できるものが完成すると、地域コーディネーターからの紹介で物産展へ出展。すると、大丸百貨店のバイヤーの目にとまり、お中元・お歳暮のギフトカタログへの掲載が決まった。

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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