【海外進出を支援する:3】海外出展で業界を変えた「播州刃物」 画像 【海外進出を支援する:3】海外出展で業界を変えた「播州刃物」

制度・ビジネスチャンス

 上質な桐の箱に納められた、布地を裁断する洋裁鋏が国内直販で1本1万8000円。海外への販路拡大をブランディングに結び付け、長年の課題だった利益率向上を実現。国内外でのビジネスを拡大させた刃物産地がある。兵庫県の県南部に位置する三木市。13年にブランド「播州刃物」を設立し、業界内でその知名度を高めている。

 仕掛け人の合同会社シーラカンス食堂 小林新也氏によると、この地はかつて地域問屋を介して刃物メーカーへと製品を卸す、典型的な下請け産業地帯だったという。しかし、価格競争が進む中で、製品の単価は落ちていく。そのため、仕事はあっても売上が伸びない、後継者を育てる余裕もないという悪循環に陥っていた。

■産地ブランドで商品バリューを高める

 地域問屋からの相談を受けて、小林氏がまず行ったのが、新たなブランドイメージの構築だ。それまで、完全に裏手に回っていた産地を、「播州刃物」というネーミングでアピールする。製品はそのままに、パッケージや営業資料などのビジュアルを一新。これまで業者の言い値だった取引にも、きちんとした価格表を設けた。

 その上で提案したのが、海外の展示会への出展だった。かつて小林氏はミラノサローネに出展したこともあり、海外で認められることの意義を良く知っていた。とはいえ、組合の反応は、「一体何の意味があるの?」や「そんな金はどこにもない」といった意見ばかり。その中でも何とか組合理事長を説得したことで、まずは国内で行われる国際見本市の「インテリア ライフスタイル」への出展が決まる。

 こうして、新製品がひとつもない、見せ方だけを一新した「播州刃物」のブースが出展される。刃物メーカーのブースが立ち並ぶ中、産地ブランドを掲げたことへの反響は大きかった。「デルフォニック」などの大手バイヤーが商品に関心を持ち、雑誌『家庭画報』にも取り上げられる。

 さらに、海外進出についても、小林氏の狙いどおりの展開があった。展示会を訪れていたディストリビューターから、パリ・デザインウィークに共同出展しないかとの誘いを持ちかけられる。出展費用についても会場で国の海外進出支援事業の担当者から声をかけられ、無事に採択されると渡航費用などを賄えた。

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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